社説
「いやいや」、ならば直接支援を
一見、賑わいが戻ったように見えるが「いやいや、コロナ前とはほど遠い。それだけこの3年余り、最悪だった証し」。飲食店や事業者の言葉だ。車の往来が増え、週末は行楽客が増えているように見えるが、地域経済は「いやいや」状態だ。首都圏や観光地には週末を問わずドッと人出があり、メディアは賑わいが戻った景況感を声高に流し、インバウンド回復では浅草など外国観光客の賑わい映像が流れる。それも現実だろうが、ここ妻有はどうか。
「どこが回復してるのか」。いぜん厳しい経済状況の事業者は、そう声を荒げる。「民間力が弱いこの地ではやはり行政だ。もっと地域にお金が落ちる取り組みをしてほしい」。さらに「地元事業者が良くなれば、住民が元気になり、行政への関心が増し、まちづくりが盛り上がる。地域経済へのテコ入れをもっと積極的にしてはどうか」。
プレミアム商品券もいいが、地域の中小事業者、住民を直接的に支援する取り組みはできないものか。十日町市も津南町も栄村も実施する住宅改修支援、さらに環境配慮型住宅支援など住民を支える事業は即効性がある。日々の生活支援、例えばエネルギー支援分野での電気料金支援はどうか。この紙面広告欄にある意見広告は、まさにそれだ。事は十日町市が舞台だが、津南町も栄村も同様な関係性を発電事業者と持ち、時期の違いこそあれ、同様な課題に直面する立場にある。地元行政にとっても課題で、住民を直接支援する事業に直結することだ。
「共生」「共存共栄」、地域と発電事業者の関係は、この2つの表現で、これまでその関係性を維持している。
流れる水による電気エネルギーを生み出している地域として、「これまでどうしてきたのか」、「これからどうしていくのか」、その大きな「命題」に、コロナ禍を経験したこの地域は、向き合う時が来ている。
「新5区」、広域連携のチャンス
地域医療もそうだが、教育もそうだ。枠組みの限界性はかなり前から言われていたが、必要性は声高に叫ぶが、実態は足踏み状態。人口減少は、生活に直結するあらゆる分野に影響し、自治体の最大で最優先の課題だが、聞き慣れてしまった「人口減少」にマヒしている感を抱く。深刻な数字を示しても、住む地域・集落住民の将来推計を示しても、そうなんだ…、あきらめ…。いやいや、元気に遊ぶ子たちを見れば、そんな悲観論はぶっ飛ばせねば、それが次代に繋ぐ我々の責務だろう。
限界性を指摘した。一つの自治体の限界性である。ここ妻有地域、いや魚沼エリア単位での見方・考え方が必要だ。県教委が公表した県立高校の再編計画。そのバックデータにある少子化の数値データは、深刻を通り越し、統計エリアを広げない限り、その予測数値は絶望的ともいえる。それほど「少子化」は予測を上回るスピードで進み、その最たるは出生数の激減が主因となっている。
県立高校は、文字通り県が運営すべてを賄う。新潟県に私立の学校が少ないのは、その面から見ると「学校教育への財力不足」が見えてくる。長野県には県立は当然として私立の教育機関が多い。これは「教育の長野県」といわれる由縁だが、財を教育に投じる地域性があったのか、それとも人材がいたのか、隣県ながら、この差は何か考えてしまう。今回、新潟県教委が公表した高校再編には当然ながら私立の現状にはいっさい触れていない。だが、全県の教育環境を抜本的に考え、改革するなら私学を含めた「新潟県の教育」を俯瞰的に考える必要がある。
ここ魚沼は自治体枠で考える段階ではない「少子化深刻地」。タイミングよく政治地図が大きく変わる。「新5区」。この機にこそ、あるゆる分野で広域的な論議を深めるチャンスである。
新たに見える世界が、必ずある。
津南町議選、「みんなで出よう」
早や7月。半年・6ヵ月・181日が過ぎた、いや過ぎてしまった。衆院総選挙は「秋風が吹く」頃のようだが、自公民の与党、対する野党、それぞれお家事情を抱え、なかなかややこしく、さらに「離合集散」があるかもと、政局鳥が鳴いている。
さて、津南町は今秋、町の行方を決める任期満了の町議選がある。すでに10月17日告示、22日投票の日程が決まっている。改選の年は、遅くとも8月のお盆前後には「あの人、この人」と巷間情報が流れるが、聞こえるのは「あの現職が、この現職も」という続投のムード情報。今改選期から津南町議会は定数2人減、改選定数12となり、相当なるハードルが出来ている。「若者を、女性を」と毎回待望論が聞かれるが、巷間話は「あの議員報酬では生活は無理。だいたい職場の理解が得られるか」「議員に相応しい女性は多くいる。だが、家族理解がないと難しい」などなど、マイナス話が先行している長月の始まりだ。
確かに議員報酬は、生活できる報酬ではないかもしれないが、農業地域の津南町の多くは兼業など「食の自給」はそこそこ対応できている。津南町議員の年収は約300万円。この数字をどう見るかと共に、議員の兼業の緩和も公選法の改正で許容範囲が広がっている。
「若い人を、女性をというが、高齢化率40%を超える町の実情から、60代、70代はまだまだ現役。引退している暇はない。もう少し津南町のために働いてほしい」などの声もある。
かつての地域総ぐるみ選挙、地縁血縁選挙は過去の事だ。今どきこんな選挙をやれば、人は離れていき、人物評価は地に落ちる。それは有権者意識が分かっていない証しでもある。
「みんなで出よう津南町議選」、いかがか。定数12、ならば倍以上出れば、相当なる津南町の活性化になるはずだ。
そこのあなた、どうですか。
県教委の先取り「魚沼プラン」を
学校・地域・後援会・自治体などの連携で「定員超過」で募集停止を免れた県立津南中等教育学校。来週6日、新潟県教委は「県立高校再編3ヵ年計画」を公表する。2024~2026年の方針だ。この中で県立中高一貫校の見直しを行い、佐渡と柏崎翔洋の2校の募集停止を公表する見込みという。
佐渡は津南中等校と共に4年前、募集停止の机上に載りかけたが、関係者の直訴で見送られ、津南中等は定員超過、一方の佐渡は定員割れという明暗の結果が来週の「募集停止」に結び付いたと見られる。だが、この先の保証は全くなく、県内有数の実績を上げる津南中等だが、定員割れによる募集停止は「明日は我が身」である。
だが、そもそも論を考えたい。県立中高一貫校の開校は、大学進学率の向上、高校受験のない6年間一貫教育で人材を育てる…目的だったと記憶する。毎年中規模の小学校が一つなくなるほどの少子化が進み、県立高校の定員割れは当たり前の状況にある。中高一貫校との関係性の中で、県は「初期の目的は達成された」と中高一貫6年間の教育のあり方を見直す方針を出している。その再編目安を「定員割れ」に置くが、これは相当に乱暴な論点だ。ならば「この先の県立高校のあり方を示すべき」と地元から疑問の声が上がるのは当然だ。3ヵ年計画は、そうした地元の声の露払いに見えるが…。
少子化はさらに進む。県教委の方針が変わらない限り、県立津南中等は今回の佐渡、柏崎翔洋と同じ道を避けられない状況になる。ならば、先手を打ってはどうか。妻有・魚沼圏、つまり衆院新5区エリアの県立高校のあり方を先取り提案する手法もある。その前提の一つは実績を上げる中高一貫校は存続し、普通高校、芸術分野など特化した高校、スポーツ系高校、さらに大学付属高校など、進路選択の可能性を広げる「魚沼プラン」はどうか。
地域医療、広域連携のテーブルがある
「命の砦」といわれる地域医療。十日町市・津南町・栄村は一つの医療圏であり、医療機関連携は言を俟たない重要課題だ。人口8600人余の自治体が町立病院を運営するのは容易でないことは明白だ。その津南町議会では、ここ何回かの定例議会で必ず出るのが「病院運営と今後のあり方」。6月定例会では毎回出る医師確保対策と改築問題が上がった。質問する議員、答える町当局、それぞれの立場での発言から町立病院の重要性が伝わる。一方で気になるのは「広域医療圏」の視点。妻有医療圏の十日町市・津南町・栄村では、地域医療のあり方を協議する連携テーブルがある。この論点が表に出てこないのは、どうしたことか。
医師確保はどの医療機関も最重要課題として取り組むが、思いと現実の開きに対し、打つ手立ての困難性が表出しているのが現実。そこで浮上したのが「妻有医療圏の医療機関を総合的に運営する事業体」。十日町市が新潟大と連携し取り組む連携講座の特任教授・医師が示している。こうした提言をすぐに机上に載せ、なぜ論議しないのか疑問だ。これまでも多くの提言を受けながら、「現実はそんなに甘くない」と書庫に入れられた提言は多い。だが広域医療圏のあり方は喫緊の課題だ。実現の可能性が数%でもあれば、先ずは取り組みをスタートさせるべきだ。
地域医療の要は医師であることは間違いない。だが、先般の津南町議会のやり取りを聞くと「卵とニワトリ」論を想起させる。老朽化する病院の建て替えで、「先ずは医師確保」「改築による医療環境の整備」、どちらも論点がある。これは並行的な取り組みだろうが、先の提言、運営事業体の必要性と合わせ考えると、一つは「町立津南病院の総合病院の是非」だろう。
いまこそ広域連携の出番だ。地域医療は待ったなし、その協議のテーブルは用意されている。
国調データを目の前に、考える
この数字には、相当なる深刻度を感じる人が多いのではないか。表現は様々だろうが「未婚率」「独身の割合」などどう表すのが適切か、通常使われる表現を本紙では用いている。2020年国勢調査結果を基にデータ化したが、その確定数値が出たのは1年後の2021年11月。調査から2年余りが過ぎている時間経過を踏まえて、改めてこの数値を見ると、状況はさらに進んでいるのだろう。
実はこのデータはこれまで3回ほど紙面掲載している。読者の声もその都度頂いている。『結婚だけが人生ではない』、その通りです。『生き方はその人の自由、数字が独り歩きする』、その通りかもしれないが、この地に暮らす中で、行政は生活に大きく関わり、その基本の基本が人口となれば、その数値を気にしないわけにはいかない。
一つの自治体ではもはや限界性にある「婚活事業」。そこで十日町市と小千谷市は連携し、両市が情報共有し、単独自治体では限りがある婚活支援センターの活動を、連携事業に拡げることで情報量が増し、いわゆる男女のマッチング効果を高めたい、そのねらいの効果がすでに出ている。
今年4月初め時点の両市の支援センター登録者は十日町市86人、小千谷市167人。両市で253人の登録者となり、いわゆるマッチング・チャンスは各段に増している。担当者の言葉が表す。「いわゆる選択肢が広がっています」。選ぶという表現は適切ではないかもしれないが、パートナーを求めることは事実であり、公設の支援センターにとっては登録者数の多少が事業効果に直結している現実がある。
国調のデータは、何を物語るのか。そこに「人生観の変化」を見ることができる。明らかな「変化」があり、それは「生き方」に通じる。個人領域に踏み込むことが許されること、踏み込むべきではないことがある。だが…である現実が目の前にある。
インター道の駅、大きな意味がある
一歩を踏み出すことが、全ての始まりなのだろう。総事業費620億円と聞くと、「いったい、いつできるのか」と絶望にも似た遠い先を思う。だが、その始まりは先ず一歩。自動車専用道路、設計速度80キロ、新幹線も高速道もない妻有地域に実現するのが上越魚沼地域振興快速道路、通称・上沼道。すでに八箇峠道路が開通し、その利便性を実感している住民は多い。この自動車道が国道117号、JR飯山線をまたいで越え、信濃川を長大橋で渡り、対岸の国道253号に接続し、さらに上越につながる道路だ。妻有初の高速道、その設計ルートが決まり、道路センターラインの杭打ちも終わり、確実なる一歩、二歩を刻んでいる。さらに十日町インター周辺土地利用で「道の駅」計画が具体化し、官民での検討がスタートする。所在地は十日町市だがこの道の駅活用は広域連携が必要で、スタート時点から「広域的な視点」での取り組みが求められる。
何を言いたいか。官民連携の中に国道117号でつながる妻有の自治体連携が必要だ。どちらが声を掛けるかの問題ではない。この事業での広域連携の必要性は論を待たないが、津南町の計画段階からの参画は必須だろう。その気がなければ論外ではあるが。
この「道の駅」構想には、大きな背景がある。当初の上沼道の位置づけは高速交通体系の整備。だが3・11フクシマ原発事故以降、災害時の物流・避難道としての重要性が増し、柏崎刈羽原発事故時の避難道の整備が急がれている。十日町インターの道の駅は、災害時の避難者の救援拠点となり、ここから長野方面へ、関東方面へと救援ルートがつながる。平常時の観光誘客や特産直売所の拠点以上に、この4ヘクタールにも及ぶ「拠点」の意味は大きい。
いつできるのか、いやいや、それ以上にすぐにでも欲しい拠点の場だ。そのためにも強い連携の出番だ。
「終わりの始まり」
「終わりの始まり…」。事態が良からぬ方向に進み、その先にはさらに深刻度を増した事態が待ち構えている、そんな状況を、最近はこう表現する。山際寿一さんといえば、ゴリラだ。京都大学長を務め、メディア、特に文字媒体で登場の頻度が増し、ついにTVコメンテーターにも引っ張り出されている。「生き物は困難な状況を克服するために進化し、命をつないできている。その進化をやめる、その始まりかもしれない」。どの文献だったか、今の人間のあり様をこう表現した。まさに「人類進化の終わりの始まり」なのだろう。
最たるはコンピューター社会。ついにというか、登場すべくして出てきた印象が強いが『チャットGTP』。先週の全国紙に衝撃的な記事があった。中高一貫校に通い医師をめざす男子学生が、学校の宿題にチャットGTPを使い済ませたとある。そのコメントがすごい。「医師になるため以外の勉強は時間の無駄」と、反復学習が必要な国語の宿題にチャットGTPを使った。反復学習は宿題の範囲内を再読しなければならず、1時間以上かかる。だがチャットGTPは5分ほどで回答を出してきた。「ついに、ここまで来たか…」、そう感じた世代はネット前の世代だ。便利なものを使って何が悪いのか、そう反論されたら、どう答えるか。まさに山際氏の指摘通りの現実が、目の前で進んでいる。
全国の小中学生に配布のPC端末タブレット。生まれた時から遊び感覚でコンピューターに慣れ、分厚い辞書や百科事典を引くこともなく、知りたい情報や知識を瞬時に得ることができる、これのどこが悪いのか、となる。この感覚こそ、すでに人間が機器に使われている証左でもある。
ここ妻有でも、同じ状況が目の前にある。スマホを手放せない日常生活、「終わりの始まり」は、確実に始まっているのではないか。
「いかにして投票率を下げるか」
選挙の「勝利の方程式」は、いつの時代も「まことしやかに」語られる。春の統一地方選と重なった衆参の5つの補選をリポートした分析記事が日経に出ていた。そのタイトルは『自民党の勝利の方程式』。その総括的な結論が言い得て妙、である。それは「いかにして投票率を下げるか」。広島サミットの余韻が残るうちに衆院選をと、政権与党の自民の期待感は増している。岸田首相はいつ決断するのか。
一党他弱のこの国の政治状況。自民党支持層と無党派層がこの国の今の「2大支持層」といえる。この無党派層は「全くの白紙」ではなく、その時々の選挙を取り巻く情勢で、自民政治への嫌悪感から野党勢力に投じるか、一方で政治への関心が薄い情勢では「投票に行かない」層でもある。つまり「投票率が下がる」。 春の統一地方選、さらに衆参補選でも「過去最低の投票率」が各所で報じられた。結果、自民の勝利が生まれている。分析リポートの結論、「いかにして投票率を下げるか」には頷くしかない現実がある。
そういえば、と思い当たる人も多いのではないか。「投票率の低い選挙は自民が有利」と言われてきている。一方で自治体は「投票率アップ」を選管活動の柱に据えPR活動をし、自民候補も「投票に行きましょう」と街宣する。だが、投票率は選挙のたびに下がっている現実がある。
なぜ投票率が上がらないのか。様々な分析は出ているが、これといった明確な要因はない。だが「選挙制度そのものにある」のも事実だろう。今の衆院小選挙区制の前の「中選挙区制」(選挙区定数が複数)時代は、相応に投票率は高かった。さらに投票心理を反映する「連記式投票」の導入はどうか。当選してほしい候補2人を連記することで、振るい落とされる候補が鮮明化する。
「勝利の方程式」などないが、選挙の制度改正が必要だ。
人口政策と「ジェンダー」「人権」
生き方は、人それぞれ。人口政策で必ず出てくるのが「出生数の増加」「婚姻数の増加」「適齢期人口の増加」…。だが、この課題はすべて「ジェンダー」と「人権」につながる要素を含み、これまで行政が声高に対策を掲げてきた時代から、確実に「そうではない」時代になっている。価値観の違い、ではすまされない「当然の事」になっている。だが…と行政担当者ならずとも、地域人口が日に日に減少する現実を目の当たりにすると…となる現実もある。悩ましき人口減少の地域に暮らし、そういう時代に直面する今である。
2020年国勢調査データを基に、20代から5歳刻みの50歳までの「未婚者数」を翌年21年、速報値データで紙面掲載した。反響は大きかった。「40代で3人に1人が未婚?」など、実際に数値が示す現実は、相当に厳しい状況で、「頭を抱える行政」などと形容した。だが、『生き方は、人それぞれ』という当たり前の価値観が、当たり前として地域に浸透しつつあるなか、そのデータ数値が示す現実は、何が深刻なのかを浮き彫りにしている。
だが、である。現実に人口が年々減少し、10年後、20年後の地域の実態が見えてくるとなれば、やはり手を打たなければならない大きな課題だ。
そこで、側面的な対策から本筋へと重要性が増しているのが「移住・定住」なのだろう。直接的な施策から対外的なアプローチで、人口政策に結び付けていく。人口減少する自治体にとって両面での対策が求められている。冒頭の3つの政策と対外的な移住政策。共に悩ましき課題である。
「未婚率の上昇」は今後も続くだろう。十日町市は小千谷市と「婚活」で連携し、交流・出会いの場を創出していく。津南町は県マッチング登録を補助する。「生き方」を大前提に、地域に暮らす人を増やす、この基本施策からだ。まずは現実を見ることだろう。
カフェに感じる「普段着感覚」
田んぼが広がる一本道を走っていると、道路わきに旗が一本。「カフェ」とある。空き家と思って通りながら見ると、広い窓の室内には椅子とテーブルがある。「この4月から始めています」、若い女性が笑顔で話した。出てきたコーヒーとシフォンケーキは、一般的なお店より量が多く、窓から目の前に広がる田んぼ景色をぼんやり眺め、こういう時間がいいなぁ〜、ひとりで悦に入っていた。
最近、空き家や作業所、自宅車庫などを活用したカフェや食事処が各所に誕生している。その多くが若い女性やグループで、どこも個性的なお店で、その個性と雰囲気を大切にしている心遣いを感じるお店が多い。国道117号の十日町市土市エリアは、ここ数年でいくつものカフェやレストランが誕生し、その多くが女性が経営し、市内外からのお客さん、これも女性が多く訪れている。国道からちょっと入ったカフェは、週末には店外に入店を待つ列ができる人気ぶりだ。来店者がそのお店の印象や良さをSNSで発信し、その連鎖が人が人を呼び、人気を後押ししているようだ。
空き家対策が言われて久しいが、交通の利便性、人の賑わいエリアなどなど、かつての店舗営業の常識が通じなくなっている、いや新たな営業センスが新たな常識を創り出している、そんな印象を抱く女性たちの活躍だ。国道を走り、かつてはメインストリートと言われた国道沿い商店街は、いずこも衰退傾向にあり、地元行政のテコ入れがあっても、なかなか再興が見えない現実がある。だが、空き家活用や作業所、自宅車庫などの活用例は、その「身軽さ」、さらには「発想の転換」、そして「新たな経営センス」を強く感じる。
田んぼの一本道のカフェの女性には、普段着感覚を感じる。構えることなく、自分の時間、ペースを大切に、そのゆったり感に魅力を感じる。
選挙事情、変化のうねり
春の統一地方選は、国政に目が行きがちだが、区市町村議選では「劇的な変化」が起きているようだ。その一つは女性議員の大幅増。さらに区市町村議選、特に都市部では自民現職の落選が相次ぎ、東京杉並区議選では定数48の半分を女性が占める結果となり、現職12人が落選。うち自民9人、なかには自民区支部の現職幹事長も含まれる。杉並区長は昨年6月区長選で岸本聡子区長・47歳が誕生。今回の区議選は『区長が変わった。今度は区議会』を合言葉に女性候補が多数立ち、合同街宣など共闘選挙を行い、新人15人が当選、女性が大幅躍進した。これは杉並区が特別ではなく、今春の統一地方選での大きな傾向になっている。
先月改選のお隣、湯沢町議選は、定数12人に対し女性4人が議席を得て、比率30%は全国平均を大きく上回る。十日町市議会の女性比率も県内では高い。現定数24人に対し女性5人、20%を占め、全国平均よりかなり高い。
今秋改選期を迎える津南町議会は現定数14に対し女性3人、21%余。任期満了の秋の町議選は定数2削減、改選定数12で行う。女性、若者の新人のハードルは、さらに高くなっている。
全国規模で大きな「うねり」が起きている肌感覚がある。地域おこし協力隊を退任後、地域に定住した元協力隊が市町村議選に出馬する傾向が、今春の統一地方選でかなり見られた。一方で、過去の「悪しき慣例」だが、いまだ横行する「集落推薦・地区丸抱え選挙」など、さすがに少なくなっているようだが、だが、まだまだ「負の遺産」は残っているようだ。
今春の「変化」は今後の地方自治体選でも起こるだろう。いや、その変化なくして市町村は生き残れなくなる。それは「人材」を育てることに通じるから。
先ずは今秋の津南町議選。「高齢者議会」と揶揄されるが、今秋は違った顔が多数見られることだろう。