
2020年5月
2020年5月30日(土)

専用室で展示される国宝・火焔型土器(26日報道公開で)

雪と信濃川の歴史がタッチパネルで見られる

縄文、雪、きもの、信濃川
新十日町市博物館1日開館
特別展示 国宝全57点展示、8月末まで
県内唯一の国宝・縄文火焔型土器など国宝指定57点ほか国を代表する縄文期の資料や国重文指定約7千点を収蔵の地域の歴史文化の新拠点「十日町市博物館」が1日オープン。豪雪地にふさわしく雪をイメージする白の外観と雪の結晶をアレンジし、火焔型紋様を建物上部にデザインした特徴的な博物館。新型コロナウイルス感染拡大予防で1日のオープニングセレモニーは行わず、新博物館開館記念で8月30日まで閉館時間を1時間延長(午後6時まで)。開館記念特別展は国宝指定全57点すべてを展示する。入場は当面、感染拡大予防から新潟県内在住に限り、入館状況により人数制限を予定。同博物館では「ここを通じて十日町市への関心がさらに高まるはずです」としている。
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旧博物館の道路向いに新築した新博物館の入館エントランスホールは、3㍍余の十日町市地形模型に地域の歴史文化など7テーマごとにドローン撮影の映像を映すプロジェクションマッピング「十日町空中散歩」が迎える。次の導入展示室は映像による十日町プロローグ。その先の常設展示3室をグラフィックス映像で紹介し、来館者の関心と興味を高める。
新博物館は常設展示は3室あり、国宝展示室を含む『縄文時代と火焔型土器のクニ』は市内出土品や近隣の縄文文化との関係性などを資料と共に展示解説。国宝を含む土器展示は耐震で対応。開館記念特別展示は別室の企画展示室で国宝指定をすべて展示している。さらに縄文時代に来館者を縄文衣装を着てトリップするバーチャル体験ができるコーナーや原物大の火焔型土器のパズル土器もあり子どもたちの人気を呼びそうだ。
『織物の歴史』は十日町を牽引する産業の歴史で、明治期からこれまでの「明石ちぢみ」など代表的なきものや資料を展示。特に一世を風靡した「マジョリカお召」「黒絵羽織」の当時の現物を展示。ここでもタッチパネル式できもの柄を選び、オリジナルきもの仕立てのコーナーもある。さらに中条地域の大正期の民家内部をそのまま移築した再現民家もあり、当時の生活ぶりがよく分かる展示になっている。
『雪と信濃川』は、豪雪地の民具や積雪用具など重文指定資料など展示。信濃川の古文書には、川を船がのぼった歴史資料やタッチパネルによる川と人の暮らしの歴史などを資料や映像で見るコーナー「信濃川インデックステーブル」があり、ドローン撮影とIT技術を取り入れた立体映像展示が見られる。
新博物館・十日町市博物館の佐野誠市館長は「この新博物館を通じて地域への関心がさらに高まるはず。ここは十日町市を知る拠点であり、ここから十日町の各地域に出向いて行きたくなるはず。その様々な要素の仕掛けを用意している」と、十日町市の歴史と文化の新たな拠点の誕生を強調している。開館時間は午前9時〜午後5時(8月30日まで午後6時)、入館料一般500円、中学生以下無料。毎週月曜休館。音声ガイド(日本語・英語)有料貸出。館内撮影可(三脚・ストロボ禁止、企画展示室除く)。十日町市博物館℡025-757-5531。
十日町市の地形にテーマごとに映像投影

雪と白の結晶、火焔紋様をデザインした新博物館

「明石ちぢみ」「マジョリカお召」など明治期のきもの

大正期の民家内部を移築再現。当時の生活ぶりが分かる

直接消費3億円、50%プレミアムで
飲食店限定1億円以上、大型店や家電量販店除く
新型コロナウイルス感染拡大予防で地域経済が停滞するなか、十日町市は過去最大の「50%プレミアム」商品券を来月発行する。それは『大好き地元店!元気出そう応援券』として、新コロナの影響を大きく受けている飲食店使用に限った商品券も発行し、6月25日配布の市報に購入券と使用店一覧が配布される。これから使用参加店を募集するが、今回は参加店から手数料は求めない。
市によると、50%プレミアム商品券は、500円券15枚(7500円)を1冊5千円で販売。各世帯購入限度は2冊まで。この15枚の商品券のうち2500円分(5枚)は飲食店使用に限定。残る10枚5000円分は参加店すべてで使用できる商品券で、1冊に用途別の2種類ある。
25日の定例会見で関口市長は「休業要請に応じた飲食店などの減収が大きく、市民の皆さんで応援したい」と50%プレミアム商品券発行の思いを話している。なお同商品券は総合スーパーやドラッグストア、家電量販店などでは使用できない制約を設ける。発行による消費規模は3億円を見込んでいる。

「やっと思いっ切り走れます」と中高生の陸上選手たち(23日、十日町市陸上競技場)

親子連れの徐々に増えている十日町情報館

お客さんは増えつつあるが団体客がなく例年の5割程度だというクロス10おみやげ館
公共施設「解禁」、感染予防で
新型コロナ 温泉にも人の流れ、徐々に回復
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は25日、全国的に全面解除となったなか、妻有地域でも公共施設などが徐々に使用が解除となり、人の動きも増加し始めた。施設を訪れた人からは「利用できるようになってよかった」という声も出ている。
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管内の中学・高校では部活動が休止状態で、夏季競技・大会はほとんどが中止となったなか、21日から十日町市陸上競技場など管内の体育施設はようやく使用『解禁』となり、同競技場では陸上選手たちが待ちかねたようにトラックを走り回り、自主練習で爽やかな汗を流した。
再開初の週末となった23日には同競技場に午前中から50人余りの中高生らが集まった。正面玄関には「練習以外ではマスクを着用、密接を避けて」などと注意を呼びかける掲示板を設置。感染者が出たらすぐに連絡が取れるよう利用者ひとり一人から住所、氏名、競技種目などを記してもらっている。
競技場には全国舞台で活躍している女子ハードルの俵山紗乙選手(十日町高2年)や十日町南中から日本文理に進学した男子400㍍の服部航太選手(1年)、さらに小学生の時に走り高跳びで活躍した山賀凪選手(松代中1年)らも顔を見せ、「やっと本格的な練習ができます。今季は仕方ありませんが来年の大会をめざします」と話し、汗を流していた。
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十日町情報館では先月から書籍の貸出しと返却のみの営業、臨時休館という状況を続けてきたが、18日から閲覧席の一部開放を始めた。視聴覚ホールや集会室等の利用はまだできない。
館内には親子連れなどが訪れて本を楽しそうに選んでおり「おうちで過ごそう」「おうちで食べよう」などの書籍コーナーが設けられて自宅でも楽しめる工夫がしてあった。同館の渡辺健一課長は「館内閲覧は1時間程度として密の状態を作らないようにしており、状況を見て通常の形に近づけたい。貸出し点数は10冊を20冊に増やしているので自粛のステイホームの一助にしてほしい」と話している。
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温泉も営業を再開した。千手温泉・千年の湯では先月18日から休館していたが今月21日、営業を再開。玄関には自動検温器を置く一方、感染発生時の追跡調査と連絡のために氏名、住所、電話番号を記入してもらっている。休憩室の席数は半数にしてサウナ・仮眠室・喫煙所は利用不可としている。菅井幹雄支配人は「入館は県内住民限定で免許証等を見せてもらい確認している。当館の料理は地域内の飲食店が出前をしているので、その点でも営業ができてよかった。再開を待っていた人がたくさんいてありがたい。早く収束し安心して入浴できるようになれば」と語った。
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クロス10のおみやげ館は11日から午前9時半から午後5時半までの時間短縮で営業を再開。県の緊急事態宣言解除となった14日以降、徐々にお客の数は増加してきたが、それでも団体客などがないことから「いまだ例年の5割程度の客数」となっているという。
新緑を楽しむため23日の土曜日に長岡市から訪れたという夫婦は「車の流れは少ないですね。以前、このクロス10に来た時は賑やかだったですが、今日は静かで全然違います」と話していた。同館では「観光旅行が元に戻ってほしい。団体バスがゼロというのは厳しい」と話している。
「やっぱり温泉はいいね」、待望の再開
限定営業、経営難、「公的支援をもっと」

休館が終わり再開したクアハウス津南。「待ってたよ」と喜ぶ声があがった(21日)
地域実情に合う指針作り必要 クアハウス津南
「やっとあいてくれた。ありがたいよ」。会員から笑顔がこぼれた。国緊急事態宣言解除を受け、約1ヵ月の休館となり今月21日から営業再開となった津南町の健康増進施設クアハウス津南。午後2時〜8時半までの営業時間短縮で日帰り利用を会員、一般利用は津南町・十日町市・栄村に限り営業を再開。一方で高齢者利用が多い水中運動教室、密閉空間になりやすいトレーニング室、三密の状況が予想されるサウナなどは休止中で、完全な営業再開は遠い。運営のTap(志田中理事長)では「再開するにしても人数制限など必要で、利用は今まで通りとはいかない。国の利用指針はあるが細かい指示はない。自分たちで基準を作ってやっていいのかもわからない」と戸惑いながら対応に当たっている現状を話している。
クアハウスの休館は、4月16日の国緊急事態宣言の全国発令を受け4月21日から続いた。国の動向を注視するなか、スポーツ庁が出した感染拡大予防ガイドラインを参考にした対応を検討。マスク着用での来館、手指消毒の徹底、受付に飛沫防止シート設置、館内のこまめな換気など行う。6月からはスイミングスクールを再開。子どもスクールはプールゾーンを1時間余スクール専用とし一般利用者の接触を減らし、大人スクールは一般利用営業時間前の午後1時から行うなど、利用者の接触機会を減らす工夫を考えている。
一方、町寝たきりゼロ運動の一環として取り組んでいる水中運動は3月から休止が続き、再開見通しは立っていない。利用者は60〜90代の160人余と高齢者が中心。移動のバスも密集を避けられず、簡単には始められないのが実情。Tapでは参加者に自宅でできる簡単な運動紹介や間違い探しといった脳トレーニング問題を同封したものを休止中に月1回ほど配布。それでも『水中運動がなくなり身体を動かす機会がなくなった』や『家から出ず人との会話がない』など、再開を待ち望む声が出ている。
江村大輔事務局長(36)は「健康増進施設として再開できる努力は続けるが、国の利用指針を待っているだけだと遅くなる。だが自分たちだけで指針を決めていいのかと言われると難しい。町や医療関係者、地元業者などで、地域の実情にあった温泉などの指針を考える仕組みが必要ではないか」と指摘する。21日の再開後の1日平均利用者は百人余と、新型コロナ前の半分以下。3〜5月の売上も前年に比べ5割以上減った。「指定管理期間5年の最終年が今年。収支だけで見ると本当に厳しい。次年度はどうするかを真剣に考えないといけない」と苦しい現状を話した。

「ありがとう」の花束
津南町ユリ切花組合 町立津南病院にユリ贈る
医療関係者に感謝を込めて—。津南町ユリ切花組合(中澤政明組合長、16軒)は27日、出荷が始まっている津南産ユリを含む花束を町立津南病院に寄贈。今回のユリはコンパニオンとホワイトスピア。出荷は11月まで続くが、随時津南病院に季節のユリを贈る予定だ。同組合では「新型コロナウイルスで大変なご時世。医療関係者も患者さんも花を見て気持ちが和んでくれれば」としている。
年間130万本のユリを全国に出荷、高い評価を得ている津南産ユリ。昨年の売上高は約3億8千万円。津南病院へのユリ寄贈は初めて。「住民のために働いてくれている医療関係者を応援できないか」と検討。副組合長でユリ農家の河田太郎さん(39、大井平)と、津南病院の半戸千晶整形外科医長が保育園から中学までの同級生と言う縁もあり実現。27日は河田副組合長が半戸医長に花束を手渡した。河田副組合長は「お医者さんの笑顔が患者さんの笑顔に繋がると思う。頑張って」。半戸医長は「突然の申し出でしたが、花は気持ちが明るくなるもの。場所を考えながら飾りたい」。鼻は1階ロビーに展示している。
さらに同組合では昨年に続き町役場ロビーでの季節のユリ展示、さらに福祉施設や学校関係にもユリを贈る計画を進めいる。「新型コロナで嗜好品の花も出荷は低調。だが花は人の気持ちを安らげてくれるもの。眺めることで少しでも明るい気持ちになってほしい」と願っている。
町ユリ切花組合の河田副組合長が同級生の津南病院・半戸医長に花束を手渡した(27日)
2020年5月23日(土)

子育て支援、ひとり親給付金も
十日町市新型コロナ対策、2億9735万円専決
休業協力金 計40万円に、市民宿泊1万円助成も
十日町市は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける市民生活・事業所支援の第2弾を18日発表。子育て世帯の生活支援で国の児童手当給付加算(1万円)とは別に市単で児童1人5千円給付し、経済的影響を強く受けるひとり親世帯支援で第1子4万円、2子2万円、3子以降1万円給付し、子ども3人世帯は7万円給付で支援する。さらに単身世帯で今年2月〜6月間で収入が前年同月比30%減以上(減収後月額15万円以下)で5万円給付するなど、総額2億9735万円を今月18日に専決処分し、市民生活を支援する。
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18日の市議会全協で関口芳史市長は「県内ではPCR検査を3710人が受け、約2%の82人が感染している。市内では幸い感染者は発生していない。引き続き万全の態勢で感染予防に取り組む」と話し、地域経済支援や市民生活支援策を説明した。第2弾では子育て世帯、単身世帯への支援を打ち出したほか、国が進める「新しい生活」の感染予防策に取り組む事業所や住宅などリフォーム支援する。事業所は飛沫防止カウンター設置や自動ドア整備など補助率3分の2、上限100万円助成。一般住宅では工事費20万円以上で20%補助、上限10万円支援する。「50%プレミアム商品券」は市内消費総額3億円となり、各世帯1万円(購入額、消費額1万5千円)を予定する。
休業要請で休業実施(今月7日〜14日)した事業者に県協力金対象に10万円を上乗せし、県対象外の旅館ホテル事業者には20万円を上乗せ支給し、大型連休からの休業者に県と市支援を含め40万円給付を受けることになる。さらに市民限定で市内宿泊施設利用者に宿泊料の30%、上限1万円を補助し、市内宿泊業を利用支援する。
中止や延期で繊維業界への影響に対し、今後予定の販売会経費やきものバンク使用の着物購入費や観光宣伝などの費用を補助(2千万円)する。市出身の県外在住学生対象に「学生応援ふるさと便」(市カタログギフト、十日町産品1万円相当)を送付支援する事業(1千万円)にも取り組む。
子育て支援の「児童手当受給世帯」対象の生活支援特別給付金1人5千円(予算5485万円)の支給対象は約5100人を予定。「ひとり親家庭支援特別給付金」(予算1765万円)は第1子4万円(約372人)、第2子2万円(約124人)、第3子以降1万円(約29人)となっている。

減収、独自に30万円・50万円給付
津南町新型コロナ対策、9050万円専決
50%プレミアム商品券、リフォーム支援も
感染拡大で地域経済に大きな影響が出ており、津南町は20日、支援策の2回目の町長専決処分を行い、地域経済支援では十日町市と同様にプレミアム50%の商品券を発行するなど緊急支援策を行う。規模は一般会計で9050万円。これで国の臨時交付金限度額を使い切り、さらに国交付金も予定されるため、3回目の支援策も期待される。
津南町は19日、議会全協で新たな支援策を説明。桑原悠町長は「先が見通せないなか複数のシナリオが必要」と国臨時交付金の追加が予想され、更なる支援策も視野に入れる。過去最大のプレミアム率となる「50%プレミアム商品券」は、各世帯購入限度1万円(消費額15000円)を発行。総消費額5250万円を見込む。来月発行予定だが、利用店の手数料や発行方法など商工会と協議して決める。
国の持続化給付金(前年度同月比50%以上減収)の基準に至らない町内事業者対象に、町独自の事業継続給付金を支給する。対象は3月〜5月間で前年同月比で売上が20%以上〜50%未満の事業者で、限度額で個人30万円、法人50万円給付する。さらに新コロナ感染予防の「新しい生活」に対応する改修を行う飲食店や宿泊施設を対象にリフォーム助成金を支給。宿泊施設は宿泊定員1人2万円が基準。飲食店は上限30万円。宿泊施設では町内最大のニュー・グリーンピア津南は宿泊定員600人で総額1200万円になる計算だ。
休業要請で営業ストップしていた宿泊施設対象に、町内宿泊施設の宿泊料5000円を利用者助成し、3千円の土産券を進呈し利用者入込みを支援する。利用期間は6、7月の2ヵ月。同事業は新潟県事業と連動する。融資関係では緊急短期借入金で4ヵ月間の利子を補給する。今後、さらに国の臨時交付金が期待され、第3弾の支援策の検討にも入っている。

要望書を提出する西方会頭(中央)、高橋副会頭(15日、市長応接室で)
緊急要望、地域経済支援を
十日町商工会議所・西方会頭
十日町商工会議所(西方勝一郎会頭)は15日、関口市長に『新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策』5項目の要望書を提出した。この中で「つなぎ融資の創設」や下水道料金の軽減、地場産業の販路開拓支援、さらに観光業支援などを盛り込む。西方会頭は「8部会があげた要望を集約した要望事項で、迅速な対応をお願いしたい」と手渡した。
市長への緊急要望は西方会長、高橋副会頭が要望書を手渡した。要望5項目は「事業所の感染予防対策支援」で予防用品の供給・機器導入支援。「持続化給付金支給までのつなぎ融資制度創設」は国申請後の支給遅れへの融資対応。「下水道料金の軽減」は事業所経営の落込み、特に製造業の下水基本料金の引下げを要望。「市発注工事・物販・役務の工期・納期の配慮」は資材入荷の遅れなど価格含め見直し対応を要望。「地域経済活性化対策」は感染予防で落込み地域経済の縮小対応で、プレミアム商品券発行・リフォーム補助、飲食業利用促進、観光クーポン発行で観光業支援などをあげている。
なお市では50%プレミアム商品券、感染予防対応のリフォーム改修支援、水道基本料金軽減策などを打ち出している。
