
2020年4月
2020年4月25日(土)

「医療崩壊する」と地元医師会が緊急会見で危機感示す(8日)
感染警戒、「帰省しないで」 大型連休
妻有エリア、健康施設・公共施設ほぼ全館休業
新型コロナウイルスの感染拡大が全国的に進み、「3密注意」「外出自粛」が連日呼びかけられているが、首都圏など都市部を中心にさらに感染拡大が広がる。地方出身者がいっせいに帰省・帰郷する大型連休が今月末から始まり、地方の市町村は「最大のヤマ場をむかえる」と警戒感を強めている。十日町市・津南町・栄村でも「不要不急の外出を控える」「3密注意」、さらに強く呼びかけるのが『帰省や帰郷を厳に控えてください』。連休中の公共施設・観光施設はほぼ休館・休業・休止を決めており、観光客向けには「当地を来訪されても主要な観光施設はほぼすべて休館です」などと事前情報を流している。だが、一部ではすでに「首都圏脱出」の傾向も見られ、加えて山菜採りシーズンとも重なり、市町村はさらに厳しい危機感を持って警戒している。
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十日町市・津南町・栄村の新型コロナウイルス感染症対策本部は、サイトやFB(フェイスブック)、ツイッターなどあらゆる媒体で情報発信する一方、地域団体などへ情報提供し、重層的に「警戒感」を流している。特に感染拡大が懸念される「連休対策」では、『地域外からの一時帰省や帰郷、訪問などは厳に控えてください』、さらに『地域内に転入の場合、2週間の自宅待機』を要請している。
感染拡大対応は、「最悪想定」での対策が求められる。十日町市中魚沼郡医師会は8日の緊急会見で「妻有地域で感染者が大幅に増加した場合、医療崩壊を起こし、命が救えなくなる」と危機感を訴えた。その危機感は月末からの連休への「不安と危機感」でもある。
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十日町市中魚沼郡医師会の副会長・富田浩医師は21日、取材に答えた。
「首都圏と同じレベルに市町村も一段先に行ってほしい。今日(21日)花角知事が表明したが、仕事を休んでほしい。市町村もすぐに同調してほしい。市町村医療は脆弱であり先日の会見の通り、感染者がこの地域で多発したらすぐに医療崩壊になる、それほどこの地域の医療体制は弱い」。そのためにも、「日帰り温泉・道の駅、さらに遊興場など地域外からの利用や密集状態になる場所は本来閉鎖すべき場所である。取り組みが後手後手になり、結果、感染拡大になった場合を考えると、とてももどかしい」と取り組み強化を促す。
一方、医療体制では「連休対応が急務。休日救急センターを川西に戻したのは、医療福祉総合センターは外来患者以外も出入りがあるため感染の危険度が高い。緊急的にも一定の隔離ができる場の確保が不可欠。感染者が発生した場合の事前対策も重要。症状がない感染者の収容先を確保しておく必要がある。例えば、これは地元行政や経営者の協力が不可欠だが、休業中のグリーンピア津南、あるいはベルナティオの一部施設など、もしもの場合を想定した官民連携の取り組みを今から整えておく必要がある」。
さらに人員体制では「人材の確保も大切。休校中の小中学校、高校など養護教諭への協力要請、さらに学校の教諭にもお願いしたい。すでに協力いただいている看護師資格を持つ方々、かつて医療関係に関わっていた方々など、最悪想定の中で取り組むべき準備の体制を作り上げておくべきだろう。それは今後、新型コロナ以外でも大きな役割を果たすことになる」と話す。
さらに、月末からの連休への危機感を強調する。「ドイツの例のように『地域を守るために、帰ってこないで。おじいちゃん・おばちゃんを守るために、帰省しないで』と、この連休はそうした意識を徹底して、新型コロナウイルスを妻有に入れないという強い意思と取り組みが必要」と地域挙げての取り組み、特に帰省・帰郷への警鐘を強く訴えている。
医師会緊急アピール「強いリーダーシップ発揮を」
妻有地域で爆発的な感染者増加が起こった場合、すでに新潟市、長岡市、上越市、魚沼地域でも感染蔓延の発生が予想され、その場合、患者を他地域の医療機関への受け入れはできず、妻有地域にある医療提供体制だけで患者を治療せざるを得ない状況に追い込まれる可能性が十分にある。推計する入院患者数は十日町病院(275床)の半数以上の病床が新型コロナウイルス患者で埋められることを意味する。
十日町病院が現在保有する人工呼吸器は数台で、人工呼吸器でも患者の呼吸状態を維持できない時に使用の人工心肺(ECMO)は妻有地域に1台もない。これは、数台の人工呼吸器がすべて使用の状況で、新規に呼吸不全の患者が来院しても、患者を助ける術がないという窮状になり、死者数が急増することを意味する。
新型コロナウイルスで入院治療が必要な患者数が急激に増えた状況下では、他の通常の医療も当然提供できなくなり、本来受けられる医療を受けることができずに亡くなってしまう患者が多数発生する。例えば心筋梗塞のカテーテル治療、癌の手術・抗がん剤治療・放射線治療、人工透析など。地域の中核病院が新型コロナウイルス感染症を受け入れるリスクは、ここにある。
妻有地域にある限られた医療資源『医師数、人工呼吸器の台数、十日町病院・松代病院・津南病院には本来集中治療室がなく、集中治療を専門とする医師がいないという現状等』を考えると、推計よりもっと早い段階で医療崩壊が容易に起こることが危惧される。高齢者施設や障害者施設でのクラスター発生で数十人規模で患者が一気に発生し、医療が崩壊してしまう危険性は流行期のいつでも存在する。
地域の危機を未然に防ぐために今必要なことは、一にも二にも感染者を出さない、増やさないことである。津波のような自然災害と感染症の異なる点は、私たちの努力次第で感染の波の大きさを変えることができることである。そのために、妻有地域として現在できるあらゆる策を講じる必要がある。
都市部を中心に感染者の急激な増加が起き、全国に緊急事態宣言が発令された今、妻有地域における水際対策が不可欠。妻有地域への往来の自粛に加えて、妻有地域へ移動された方は14日間の外出自粛を求め、健康観察期間を設ける必要性を強く訴える。
妻有地域でクラスターを作らないため「3密」が懸念される会合・集会・娯楽施設利用・夜の街への外出など自粛要請を行うと同時に、私たち一人一人が自身の体調管理、ソーシャルディスタンスを意識して生活することが極めて重要である。
十日町市中魚沼郡医師会を通じ医療従事者の私たちがどんな懸念を持ち、住民一人一人にどう行動していただきたいか、強いメッセージを発する必要性を感じている。さらに、十日町市や津南町の妻有地域の水際対策において強力なリーダーシップの発揮を期待する。
十日町市中魚沼郡医師会(白倉悠企医師)

今週20日から規制緩和で商店が再開(22日、メットマンで)

子どもたちが遊ぶ小石
緊急寄稿・新型コロナ対策
そしてドイツは今
翻訳家・ドイツ在住 ヴァウアー葉子(十日町市出身)
オリンピック延期がどうのと、今なら「それどころじゃない」と言いたくなるテーマが話題の中心だった頃、ヨーロッパは新型コロナウイルスの猛火で既に「火の海」になっていた。
このウイルスの一番怖いところは、特に若い世代は無症状の人も多くて、当人も気がつかないうちに、感染を広げている点にある。
2020年4月18日現在、ドイツの感染者数は約14万人、うち治癒者約8万人、亡くなった人の数は約4000人である。これが私たちの住む町メットマンに影響を与えないわけがない。
ここは、ドイツにあるノルトライン・ヴェストファーレン州の州都デュッセルドルフ市から15㎞ほど東方にある人口5万人ほどの町で、ネアンデルタールという自然保護区域を背景にした田園地帯の中にある。
メルケル首相が3月22日に「接触禁止」を宣言して以来、私たちの生活も大きく変わった。
接触禁止
「自粛」と違うところは、罰則がある点である。
例えば、公共の場で何人か集まってピクニックすると、1人あたり250ユーロ(約3万円)の罰金、コンサートなら、いくら屋外でも主催者には5000ユーロ(約60万円)の罰金+起訴、参加者にも1人あたり400ユーロ(約5万円)の罰金が科せられる。
店舗で営業しているのはスーパー、薬局、ドラッグストアといった生活必需品を扱うところのみだが、レストランは配達なら許可されている。
接触禁止はまず「1・5㍍〜2㍍の距離を保つ」に始まる。それは店舗の中も同様で、規模により入店客数に制限があって、違反すると500ユーロ(約6万円)〜1000ユーロ(約12万円)の罰金である。
そのため、各スーパーの出入り口では店員が入店数をチェックしていて、入店できる人数分しかカートを用意していない。2人で行けば、各自が1台ずつカートを押して入店するよう指示され、カートが無ければ、買い物の済んだ人がカートを返しに来るまで待っていなければならない。
近所の人との立ち話も必ず距離を置く。3人くらいで立ち話をしている時に、また誰か別の知り合いが来たりすると、誰かが「じゃあね」と言って、話の輪から離れる。「グループ」ができるのを避けるためなので、これで気を悪くする人はいない。新型コロナウイルスというのは、マスクをしても防げないし、背筋が寒くなるほど怖いものだとの意識が徹底しているためである。
コロナに負けるな
さて、ドイツでも3月22日以来、保育園から小学校、中学、高校、大学、すべて閉鎖になっていて、友だちと遊ぶことさえできない子供たちのストレスは溜まりっぱなしである。こういう中でこそ、アイディア力が問われる。
例えば「宝探しリレー」。
フランクフルトに住む娘には11歳の息子と10歳の娘がいるが、友だちと「宝探しリレー」のようなゲームを楽しんだりしているとのことである。 石を拾ってきて彩色する。これを兄妹2人で何か所かに置いてくる。そのあとで友だちに置き場所のヒントを教える。またはヒントとなる写真を送る。探しに出た友だちがそれを見つけたら、場所を変えて置き直し、別の友だちにその場所のヒントを教える。電話で話しながら探すのも楽しいそうである。
2人までなら一緒に行動してよいので、これならグループを作らずに友だちと遊ぶことができるし、運動にもなる。
ドライブイン・シアター
我が町の屋内プールも現在閉鎖中であるが、その駐車場を利用してドライブイン・シアターが設置された。つまり「3密」を避けつつ大スクリーンで映画を楽しもうという構想である。予約を入れる時に、飲み物やポップコーンも注文しておける。映画は今のところ子供向けのみだが、大人向けの映画も検討中で、さらにはシアターの数を増やすことも計画中とのことだ。
国民の支持率70%というメルケル首相のコロナ対策により、感染者の増え方が減速し始めたことから、4月20日から規制が緩和され、美容院、衣料品店等々、小規模な店舗は感染防止対策に細心の注意を払うとの条件下で営業を再開できることになった。
さらに、感染者14万人の半分以上にあたる8万人が治癒していることから、その血液を採取して、抗体を備えた血漿を治療に使い始めている。
「希望」はいつも私たちのそばにいるが、自らの努力を怠ると力を発揮してくれない。

新聞やテレビなど11社が訪れ、関心を集めた津南中等校の公開オンライン学習(16日)
オンライン授業、高まる必要性
津南中等校は3年前導入、町立小中学校は今年度整備
新型コロナウイルスの影響で、各学校が休校を余儀なくされているなか、「オンライン学習」を求める声が高まっている。県立津南中等教育学校(小林英明校長、330人)は3年前からオンライン学習を開始し、後期課程(高校1〜3年)が自宅課題や自主学習に役立てている。今年度は新型コロナによる臨時休校に備え、全学年で導入を図る。一方、津南町立小中学校は、国が進める学校のICT環境整備や児童生徒1人一台学習用端末を持つ『GIGAスクール構想』による補助金を受け今年度、校舎内の無線LAN環境を整備し、国補助を受けながらネットワーク環境の整備をまず進める計画だが、オンライン学習への道のりを歩みだしたばかり。予期せぬコロナウイルスの影響で、一刻も早い導入が求められる事態となっている。
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新型コロナの影響で県立高校の今月15日〜5月6日までの再休校が決まった。その翌日の16日、県立津南中等校は臨時休校に伴うオンライン学習と、テレビ会議用アプリ『Zoom』を使ったホームルームの公開授業を実施。5学年55人(2クラス)と教員がノートパソコンやタブレット、スマートフォンを通じホールルームと英語の授業を行い、桑原津南町長も来訪し、臨時休校で学校に通えない生徒を激励した。
オンライン学習は、自宅課題や指定問題を配信することで、生徒は自分の力に応じた問題に取り組み、教員は個々の生徒の取り組み状況や学習履歴を確認できる利点がある。今月15日からの臨時休校中はオンライン学習に加え、朝と夕のホームルームのためテレビ会議用アプリ『Zoom』を導入。画面には自宅で過ごす生徒たちの顔がそれぞれ映り込み、端末を通し、それぞれの声が聞こえる仕組み。インターネットを通したテレビ会議を、5学年のひとり、桑原加奈さんは「画面を通してみんなの表情が見れて良かったと思います。オンラインの英語は、リスニングなど先生と直接やり取りができるのでいいなと感じました」と話した。
同校ではこれまで、校舎内に独自の光回線とWi-Fiにより、探究学習の発表や、海外研修の訪問校との交流でネット電話サービス『スカイプ』を使った実績があり、テレビ会議システムを全校で活用する素地があると判断し、今回初めてホームルームにテレビ会議システムを活用。入学したばかりの新1年生も、全員のネット環境が整い次第、オンライン学習など開始する予定。小林校長は「ホームルームは生徒の顔が見えて繋がった方が、独りじゃなく、繋がっている意識が生まれる。学習の支援も、双方向のコミュニケーションとしてできる」とねらいを話す。
一方、桑原町長。臨時休校中にオンライン学習をする事例を間近で見るなか「素晴らしい自然環境がある津南町。それに教育に魅力がある町として認知を広め、移住と組み合わせられないか考えている。その中で津南中等の取り組みは素晴らしい。勉強させて貰った」と話した。

新型コロナの影響もあり、住民と距離を取りながら会話する森川村長(21日、極野で)

100人余の支持者を前に「村政を変える」と宮川幹雄氏(21日朝9時、野田沢で)
現新対決、争点は4年間の評価 栄村村長選挙
森川浩市村長「行政は継続だ」、宮川幹雄氏「信頼感に欠ける」
現村政の是非を問う形となっている栄村村長選はいよいよあす26日に投票日を迎える。現職で1期の森川浩市村長(60、雪坪)と、元教育長で新人の農業・宮川幹雄氏(66、野田沢)の一騎打ち。新型コロナウイルスの影響で村民に直接政策を主張する機会がほぼなく、前例のないチラシ選挙の前哨戦を行ったが両陣営ともどこまで浸透したかは不透明だ。森川村長は1期4年の実績と継続を強調し「 行政は継続だ。4年間でたくさんの事業の種をまいた。引き続き村の舵を取り、キレイな花を咲かせたい」と訴える。一方、宮川氏は「今の森川村政でいいのか。行政の運営も財政の運営も、あらゆる面で信頼に欠けている」と現村政への批判を強めている。接戦が予想されるなか、結果のカギを握るのは、波及効果が高い女性層への浸透度となる。村長選の開票は26日午後8時45分から村役場で行い、10時半前には結果が出る見込み。今月20日付の有権者数は1590人(男760人、女830人)。
国県との繋がり、4年の実績強調 森川浩市村長
「行政は継続だ」。1期4年を務め、『日本一安心できる村』を掲げる現職・森川浩市村長は強く訴える。告示日の21日朝、地元の志久見公民館で決起集会を兼ね行った出陣式。参集者は百人余。新型コロナウイルス影響で皆がマスク着用。出陣式は宮本衡司県議、新潟・尾身孝昭県議、元参院・若林健太氏、元衆院・小松裕氏など、自民党や公明党の関係者が集った。国県事業の導入による道路などの事業促進を掲げるなか「小さな村は、国、国会議員、県、県議、近隣市町村組長など繋がりがなければ希望した事業へのお金が届かない」と4年間で各界との繋がりを構築して来た実績を語る。
特命企画課(当初は特命対策課)の設置、副村長民間公募、目安箱の設置など行った1期目。2期目は農業経営、販売促進など一体的に担う「栄村総合株式会社」(仮称)の設立、副村長は民間の事業感覚を持つ一般登用を示す。一方、震災復興基金が来年度で無くなることなどで財政不安を指摘する声があるなか「この4年間毎年、貯金は1年間に2千万円弱、4億8千万円を積んだ。約10年は大丈夫」と強調した。
選挙期間中も新型コロナ対応に追われるが「しかし応援してくれている大勢の皆さんの力があれば、新型コロナ対策に精一杯取り組み、皆さんの命、健康を守る」と支持を訴えた。
問題多い村政、終止符求める 宮川幹雄氏
宮川幹雄選対は告示の21日朝8時半、野田沢の候補自宅前で出陣式を行い、集まった支持者百人余を前に宮川氏は「今の村政でいいのでしょうか。今の森川村政でいいのでしょうか。決してよくない」と、厳しい表情で第一声の最初の言葉に力を込めた。この言葉に今回の選挙戦のすべてが込められている。宮川選対は選挙中、この問題意識を全村に広め、現職森川村政の終止符を求め、村民支持を集める方針だ。
出馬決意に至る経過で一貫するのが「問題多い森川村政」であり、村予算審議の村議から疑問符が上がり、それを受け今年1月9日宮川氏は出馬決意。後援会立ち上げ後、集落懇談を予定したが新型コロナウイルスで開けず、大幅に運動方針を修正。政策チラシと集落回りを展開。選対幹部は「集落懇談が開けなかったのが一番痛い。だが全村を回り、相当な手ごたえを感じている」と話す。
21日の出陣で選対本部長・宮川吉郎後援会長は「現職との一騎打ち、厳しい選挙戦だ。栄村の将来がかかっている」と宮川支持を訴える。さらに幹事長・保坂良徳村議は「彼はどういう立場に村長がいるのか、どういう事をしなければならないのか、そういう認識がほとんどない。うまくいかないと人に責任を押し付け、目安箱を設置し、まるで殿様気分のように勘違いしている部分が多々見られた。こういう人に栄村の行政運営は任せられない」と厳しく糾弾し、宮川支持を訴えた。

伊達つつじ園で芽の状態を調べる県立植物園の倉重園長(中央)ら
再び色鮮やかな公園を
伊達つつじ原 県内唯一、適期防除で再生に
再び色鮮やかなツツジの原に—。大正時代から昭和初期にかけて人気の花見名所として賑わっていたという歴史がある「伊達のつつじ原公園」(十日町市伊達地内)。5年ほど前から徐々に花が咲かなくなり、昨年は壊滅状態となった。同公園を維持管理している「つつじ原を蘇えらせる会」(宮澤邦夫会長)では、十日町地域振興局の協力を受け20日、県立植物園の倉重祐二園長を招いて調査してもらった。倉重園長は「芽が虫に食われている状態。適切な時期に害虫防除すれば再び花が咲くようになるはず」と話し、「ぜひ、すばらしいつつじ原にして下さい」と地元民を激励した。
同つつじ原は、地域の宝を復活させようと平成9年に伊達地区の有志が蘇えらせる会を発足。以来、地道な復興作業を進め維持管理している。面積は約2㌶で、自生しているヤマツツジや植栽したレンゲツツジなど2千株以上があるという。かつては見頃を迎える5月下旬からオレンジ色に埋め尽くされるほどの景観を誇っていたが、5年ほど前から徐々に開花が減少。昨年は壊滅状態にまでなった。会では懸命に薬剤散布など行ってきたが効果が出ず、お手上げ状態だった。
宮澤会長らは「昨年は春から8月下旬まで薬剤による害虫駆除を3回行ってきた」などと説明。これに対し倉重園長は、ツツジ株の状態を見ながら「9月に入ってから花芽が食われている状態。8月下旬以降の防除も必要だ。よい薬剤があるのでぜひタイミングを見計らって散布してほしい」と指摘。さらに「県内にツツジ園はなく、さらにこれだけヤマツツジがまとまっている場所は他にない。50年以上の古い株もあり、貴重な場所なので大いにPRしていってほしい」と話した。
なお、来月第1週の土日に「つつじ原公園まつり」を開く予定だったが、開花の減少と新型コロナ問題もあり中止した。

村越ガバナー(中央右)らが公共施設等への寄贈目録を関口市長に手渡した(17日)
160万円相当を寄贈
川西にいがたライオンズクラブ 年次大会は中止
ライオンズクラブ(LC)国際協会。その一員で市内を中心に活動する川西にいがたLC(高橋俊一会長・会員25人)から選出された村越勝蔵ガバナー(新潟県代表)ら役員5人が17日、市役所を訪れ、年次大会記念事業として市内公共施設等に設置する記念品4点(160万円相当)の目録を関口市長に手渡した。
来月9日にガバナー選出地区の十日町市内で「LC国際協会333—A地区(新潟地区)第66回年次大会(総会)」を開催する予定で昨年7月から川西LCでは準備を進めてきたが、新型コロナウイルス感染拡大の状況を考え、村越ガバナーは中止の判断を下した。記念品を受け取った関口市長は「大会のパンフレットには十日町の魅力を余すところなく載せてもらい、中止は断腸の思いの決断だった思う。皆さんから素晴らしい品々を頂戴しありがたく思います。市が新しく投資した施設が皆さんのおかげでさらに便利になる。コロナが終息した暁には、地域の活性化に尽力をいただきたい」と感謝した。
村越ガバナーは「年次大会には市内に様々な地区から会員1200人が集まり、宿泊等を含め市内での経済効果は約4000万円を見込んでいたので残念。世界大会などLC事業はすべて中止の方向に向かっており、感染者や死者数を見るとやむを得なかった。奉仕団体の自覚を持ってコロナ終息後は我々のできる活動をしていきたい」と話していた。
各クラブが寄贈した記念品は次のとおり。
▼児童センターめごらんど=児童用プレイマット(十日町LC)▼千手中央コミュニティセンター=FM電波時計(川西にいがたLC)▼下条地区振興会=ポータブルワイヤレスアンプ(十日町平成LC)▼十日町市中里体育館=温水洗浄便座(中里にいがたLC)

農業会社「満作」を立ち上げた藤ノ木さん、中島社長、瀧澤さん(左から、大井平で)
法人化で農地繋ぐ、「満作」スタート
上郷地区の若手農業者3人で設立
若手農業者3人が、新たな農業会社を立ち上げた。「株式会社 満作」。水稲農家の中島孝之さん(45、大井平)が代表取締役社長。養豚業とスィートコーンなど栽培の瀧澤学さん(38、同)と水稲など作る藤ノ木仁さん(36、朴木沢)が取締役を務め、今年1月に設立。中島社長は「耕作者の高齢化が進むなか、法人化により耕作者を確保し、農地を荒らさず将来に繋げたい」と意欲。2年後には津南町で全国規模のコメ品評会のコメ・食味分析鑑定コンクール国際大会が開催されるが「地元開催の大会で入賞できたらとても嬉しい」と話している。
同社は津南産コシヒカリや酒米・五百万石など水稲20㌶を中心に、春は雪下ニンジン、夏はスィートコーン。秋はカリフラワーなど上郷地区の24㌶余で栽培する計画。さらに苗作りや田植え、稲刈り、乾燥調整など、すでに複数の受託依頼がある。水稲では、BLではない従来品種のコシヒカリも栽培し、直販に活用する計画。一方で畑作は、養豚業のメリットを生かし、堆肥を使った有機栽培に取り組む。
県町の補助を受け、トラクターや田植え機、野菜用移植機を約2千万円で購入。作業効率化を図りながら、未来に繋がる農業をめざす。将来的には国道117号沿いに直売所を置き、生産物を販売。さらに加工品の生産、ウェブを通じた直販も視野。社名『満作』は、3人で話し合って決めた。「画数とかも見ながら決めたが、覚えやすい名前になったと思う」。理想は「年間を通じ農業で稼ぐこと。通年で農業ができないと社員になる方も入りにくい。動きながら実現を考えたい」とする。
農業法人設立の経緯は、進む地域の耕作者の高齢化。「個人で百姓をやっている家も、親世代が年を取ると耕作が難しくなる。地元の土地を地元の住民が耕作するのにも限界があり、法人化で他所の方も社員として働ける環境を作れば、農地を守ること繋がる」。元号が令和に変わって初めての春、新たな挑戦の年が始まる。
2020年4月18日(土)

十日町市と事業契約を交わした十日町福祉会・村山理事長(左)

乾燥した紙おむつ(右)をペレットに
紙おむつ、燃料化に前進
十日町市と十日町福祉会 事業契約15年、年間15トン製造
化石燃料を使い燃やしていた紙おむつを燃料に—。平成26年度から燃料化に向けて取り組んでいる十日町市では10日、市役所で特養老人ホーム等を運営する十日町福祉会(村山薫理事長)と「使用済み紙おむつ燃料化実証事業」の事業契約を締結した。
市では2025年度までに市内電力消費量の30%を再生可能エネルギーで賄うことを目標に掲げており、今回の事業契約はその一環。これまで紙おむつの回収と燃料製造実験、ペレットボイラーでの燃焼試験、採算性・運営体制の検討などを進め、令和元年度に運営・熱利用事業者を公募し、同福祉会に決定した。
同福祉会では以前、年間約200㌧出る使用済み紙おむつを自家焼却施設で年間経費約1400万円をかけて焼却し、その後は同1600万円で市外の産廃業者に処理を委託している。
同実証事業では特養ホームなどで出たおむつを回収し、エコクリーンセンターのごみ焼却熱を利用して乾燥・滅菌し、同センター内に設置する紙おむつペレット燃料製造装置で製材所から出るおがくずを4割混ぜて粒状燃料のペレットに加工。出来上がった燃料は同福祉会のケアセンター三好園しんざのボイラーで熱・給湯利用される。事業期間15年のうち4年間の実証期間で実用の道筋を付けるデータを蓄積する。装置の紙おむつ受け入れ可能量は1日600㌔で年間約160㌧、燃料の製造量は年間約90㌧になる。
契約委託期間は今年度から15年間で、紙おむつ製造関連の施設使用料は年間120万円。村山理事長は「これまで紙おむつ処理には膨大な経費をかけてきたが、市の思いと事業者が連携できないものかと考え公募に手を挙げた。きちんと経費対効果を踏まえた上で事業化できるよう行政と共に努力したい」と話している。
関口市長は「市内消費電力の30%を再生可能エネルギーにしようと取り組んでいるが、その一つが紙おむつの燃料化。キナーレの木質バイオマス発電や松之山の地熱発電の他、民間でのバイオマス発電の動きがあり、官民一体でチャレンジしている」としながら、「紙おむつの乾燥に化石燃料を使わず、ごみ焼却場の排熱で乾燥を行う国内初の事例。15年の長い契約だが実証期間でしっかり研究し、実用化が確立できるよう協力してほしい」と期待を述べた。

1期生36人を代表して大口良太さんが誓いの言葉を述べた(10日、十日町看護専門学校で)
「臆することなく看護を」
県立十日町看護専門学校 十日町市が通学・家賃補助を
新潟県立としては3校目となる十日町看護専門学校の入学式は10日、新型コロナウイルス感染予防から入学生と学校関係者だけで同校講堂で開き、1期生36人が緊張気味ながら、医療現場への一歩を歩み出した。初代校長の塚田芳久校長・新発田病院長は「今日から始まる教育課程は容易ではなく不断の努力が必要。全員が看護師資格を取るまで仲間を信じ励まし合い取り組んでほしい」と激励し、「不安と戦う患者さんを尊重し、根気強く支援できる看護師としての力を養ってほしい」と呼びかけた。
県立十日町病院脇に十日町市が建設した市医療福祉総合センターの2、3、4階に入る十日町看護専門学校。3年制定員40人で1期生志願数は74人。看護学校は複数受験が多く合格者を多く発表し同校は56人合格。結局入学者は県外を含む36人。男性12人含む18歳から社会人経験の40代まで。災害時には救急対応拠点にもなる1階講堂で開いた入学式は報道取材含め会場参集者全員がマスク着用で臨んだ。
緊張気味の入学生を前に塚田芳久校長は「初心を胸に刻み、人間性の成長を心がけてほしい。我々の前には様々な患者さんが来られ、医療によって結果が良くなるとは限らない。その時に、病気や障害や最悪時の時にでも臆することなく患者さんに寄り添わなくてはならない。不安と戦う患者さんを尊重し、根気強く支援できる力を養ってほしい」と医療現場の厳しさと共に地域からの期待感の強さを述べ、自覚を促した。
1期生を代表し大口良太さん(18)は「心と身体の健康を守る看護師という仕事にあこがれ、自分が生まれ育った地域に貢献したいと看護師を志す。3年間、困難に直面することがあると思うが、同じ志を持つ36人の仲間と共に切磋琢磨し、それぞれがめざす看護師像をめざす。1期生としての誇りと責任を忘れず、この学校の理念である命の尊厳を重んじ、地域医療で活躍できる看護師の見本となれるよう強い意志を持って取り組みたい」と決意を語った。
なお、十日町市は開校した看護学校学生を対象の通学・アパート賃貸補助を行う。13日、市担当者が学生に説明し、補助申請の受付を開始しており、すでに通学・賃貸補助とも申請が入っている。
通学補助は定期料金の5分の1、上限年間3万円。アパート賃貸補助は月額家賃の2分の1、上限1万円。市では「地域外から多数の学生が入学している。通学・家賃補助を通じて医療人材の育成を支援したい」としている。1期生36人は地元含む魚沼地域17人、上越地域9人、魚沼以外の中越地域3人、新潟6人、県外1人となっている。

経済産業大臣賞・吉澤織物
特選手描振袖 歌舞伎の舞︱雪持松竹文様

中小企業庁長官賞・関芳
振袖 晴峰 煌
匠の技、求評会の原点に きものフェスタ
経済産業大臣賞は吉澤織物の手描き友禅
全国の市場から十日町の着物の評価をと、大正14年に始まった「求評会」を前身とした十日町織物工業協同組合(吉澤武彦理事長・加盟18社)主催の「十日町きものフェスタ2020」が6〜10日、クロステンで行われた。
今回は新型コロナウイルス感染防止のため、一般来場者とユーザー審査員への公開と特別展「織物組合創始160年記念展」は中止。また、入場の際は除菌剤を使用してマスクを着用、審査員同士は一定の距離をあけることなどを求めた。吉澤理事長は「イベント性は排除して可能な限り最大限の対策を講じ、企業の商行為に主旨を絞り『求評会』の原点に帰っての開催だった」とし、新型コロナ拡大について「首都圏等で大型催事の中止や延期が出て、大事な商売の機会に影響が出てきている」と話した。
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フェスタ会場には着物総合産地の威信を賭けて作られた緻密な織りと染めの力作88点を展示。鮮やかな彩りの着物に加え、渋さを追求した着物もあり、加盟各社の取引先である審査員は、細部まで見つめて評価に当たっていた。吉澤理事長は「審査員からは『蓄積された匠の技を発揮し、各社が個性的で目新しいものづくりをしている』などと評価をいただいた」と言う。各社の職人たちも少人数ずつ作品を鑑賞した。「長い時間をかけて作品を作り上げた職人たちに他社の着物を見てもらうことも重要。来場した顔ぶれを見ると若手から大ベテランまで、しっかりとした技を持った人たちがいることを再認識した。産地として技術者を守っていかなくてはならない」と強調した。
最高賞には吉澤織物の「特選手描振袖・歌舞伎の舞—雪持松竹文様」が選ばれた。
各賞は次の通り。
【特別賞】▼経済産業大臣賞=吉澤織物▼中小企業庁長官賞=関芳▼経済産業省関東経済産業局長賞=青柳
【紬絣部門】▼新潟県知事賞=吉澤織物▼十日町市長賞=同▼日本絹人繊織物工業会長賞=青柳2点▼十日町商工会議所会頭賞=白新染織
【帯部門】▼県知事賞=滝泰▼市長賞=青柳▼会議所会頭賞=同
【留袖部門】▼県知事賞=吉澤織物▼市長賞=関芳
【訪問着部門】▼県知事賞=吉澤織物▼市長賞=滝泰▼絹人工業会長賞=青柳▼会議所会頭賞=同
【振袖部門】▼県知事賞=吉澤織物▼市長賞=青柳▼絹人工業会長賞=関芳
【付下・着尺・羽織・コート部門】▼県知事賞=吉澤織物▼市長賞=秀美▼会議所会頭賞=吉澤織物

経済産業省関東経済産業局長賞・青柳
振袖 本桶絞り 「菊花雪輪小袖図」
現新一騎打ち、森川村政の是非争点 栄村村長選挙
実績アピールの森川浩市村長、浸透はかる宮川幹雄氏
任期満了(5月14日)に伴う村長選は今月21日告示、26日投票。現職・森川浩市村長(60、雪坪)と、新人で前教育長・宮川幹雄氏(66、野田沢)の一騎打ちとなる見込み。一方で新型コロナウイルスの影響で両陣営とも集落座談会や総決起大会は開かず、告示日を迎える。両候補とも、政策チラシを複数配る選挙戦を行っており、前例のない「チラシ選挙」を余儀なくされている。村民も「判断基準が少ない」との困惑が続いているなか、4年間の現村政を問う形となり「現村政は是か非か」が争点となっている。3月19日付の有権者数は1617人(男775、女842)。
「日本一安心できる村」を掲げ当選、1期4年を務めるなか、政策チラシではその実績を強調する。福祉政策では学生と高齢者にインフルエンザワクチン無料接種、インフラ整備では森簡易水道の水源転換工事による水質改善、観光面では栄村振興公社解散からの指定管理者制度への移行などを記す。また庁舎内では人事評価制度を取り入れ、同時に国と県との繋がり強化と職員の能力向上をねらいに、国道交通省と農林水産省、県農政部などへの職員派遣を行っていることを示す。
2期目の公約に掲げるのは、1期目は公募で副村長を登用したが、2期目も「民間の事業感覚を持った方を一般から登用し村政に活力を生み出す」とする。一方で、村の基幹産業である農業については、土地開発や農業経営、販売促進などを一体的に行う「栄村総合株式会社」(仮称)の設立を提唱。観光の大きな柱ととらえる秋山郷振興では以前より目標に掲げる「秋山郷内の誘客宿泊者数2万人の実現」に向け、飯山駅からの高原シャトル便、越後湯沢と秋山郷を繋ぐ直行便、秋山郷内を循環運行する山タク事業の継続を掲げている。
村民配布のチラシは15枚余を配布。4年の実績として、A4版のチラシを各地区の状況に合わせて配布。月岡や箕作地区には関連市町村と行った千曲川堤防工事の国交大臣への陳情提出、森や平滝地区などには老朽化する野々海隧道の改修または新設を進める意思を示すチラシなど配り、現職の強みを活かし該当地区にピンポイントでアピールする戦略を取る。
告示日の21日は志久見公民館前で出陣式。地元の東部地区の後援会員らを前に第一声を発し、その後は秋山地区など村内を巡回予定だ。
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「未来につながるむらづくり」を掲げ、1月末に出馬表明の宮川氏。当初は積極的に集落懇談会を開き、自身の想いを伝える計画だったが、新型コロナの影響で集会が開けなくなり、政策チラシを使い村民周知を図っている。一番先に掲げるのは『信頼感のある役場』。徹底した政策協議により、誰もが納得できる事業推進で村民から愛され信頼される村役場を掲げる。村職員派遣については「県までを基本」とするなど、役場組織の在り方を見直す方針。一方で少子高齢化が進む村の村内交通は福祉・観光・教育などそれぞれ動いており複雑化しているのを受け、現在行っているデマンド方式・山タク・タクシー県補助などを整理・見直し、どの体制が一番いいかを村民の声を聞き利便性を追求するとし、現村政との違いを出す。
村の基幹産業である農業については、住民の高齢化や担い手不足などに対応するために「営農システム支援室」(仮称)を掲げる。第5期の中山間地等直接支払制度は集落戦略の策定が3年以内に必要となるなど、国県補助の手続きが煩雑化するなか相談先となる部署。合わせて営農集団の大型機械の整備助成、ふるさと納税における返礼品は加工品を含め営農集団が中心となり対応できる体制とし農家恩恵の拡充など掲げ、持続可能な農業をめざす支援を想定する。
政策チラシはこれまで4枚配布。さらに村民15人余からの応援メッセージを掲載したものを配布する予定。現職陣営は近隣市町村長や県議などからの応援メッセージが記載されたものを配布したが、あえて村民からの言葉を出すことで、現職との違いをアピールする。
告示日21日は、地元・野田沢の自宅前で出陣式を行い、その後全村を巡る予定だ。
2020年4月11日(土)

病院ベッドそのままの看護実習室。手前は実習人形

10日開校の看護学校、右奥が十日町病院

在宅看護実習室には最新機器「シナリオ」を設備

災害時には救急医療対応の拠点にもなる講堂

地域医療を先取り、在宅看護カリキュラムも
県立十日町看護専門学校、1期生36人
不足する医療スタッフを育成する拠点が10日、誕生した。県立十日町看護専門学校の1期生36人が10日入学。新型コロナウイルス感染予防で学生と学校関係者だけの入学式となったが、最新医療機器と指導教官により看護師めざし3年間学ぶ。6日、報道関係者に看護学校が入る十日町市医療福祉総合センターと共に事前公開され、妻有地域が待ち望んだ高等教育機関、それも医療人材を育てる拠点の誕生となり、地域医療福祉の充実につながるだけに寄せる地域の期待感を大きい。
十日町市が建設し、新潟県に貸与する市医療福祉総合センターは県立十日町病院に隣接。4階建て延べ4253平方㍍、総事業費約18億円。同センター1階には休日1次救急センターが入り、一般受診室と感染症対応室を設備。すでに5日開所し7人が受診している。1階には看護学校の講堂・会議室があり、テーブル60、イス180が一堂に使えるスペース。暗室カーテンを設備し看護師戴帽式の会場になる。災害時は救急対応スペースになる。
2階は十日町市の医療福祉連携拠点となり、市介護課・地域包括ケアシステム推進係、新潟大寄付講座医師、つまり医療介護連携センター(医師会)、在宅歯科医療連携室(歯科医師会)、障がい者基幹相談支援センター、社会福祉協議会、東地域包括支援センターなど医療福祉関係のワンストップフロアで関係職員30人余が常駐。看護学校の職員室、副校長室(常勤)なども2階に設置。
看護学校は3、4階で普通教室3室、パソコンルーム、図書室、ラウンジなど。4階は病室を再現した看護実習室、新生児沐浴実習など母性小児看護実習室、さらに在宅看護自習室は浴室を備え実際の居室を再現。実習に使う高級車価格並みのシミュレーター人形「シナリオ」を設備。31疾患がインプットされ、対応による発声もあり臨場感ある実践体感できる最新機器だ。ランドリールームも完備する。
初代校長の塚田芳久・県立新発田病院長は「令和4年から看護師養成カリキュラムが改正され、地域医療分野が入る。ここ十日町看護専門学校はその先取りで地域医療における在宅医療のカリキュラムが入り、先取りするこの看護学校の特色でもある」と話す。さらに
「社会にとって医療は大切な存在であると自覚して入学してくる看護師をめざす学生たち。新型コロナの現場で身の危険を顧みないで、その場に立っている人がいる。その職に就こうとする人がこの学校に入学する。その学生に対し地域の熱い支援をお願いしたい」と十日町看護専門学校の初代校長としての思いを話している。十日町看護専門学校の実習施設は県立がんセンターなど10病院、地元福祉施設等60施設で学生は実習する。
魚沼圏から17人(専任教職員10人) 初代校長は塚田芳久氏
新潟県としては52年ぶりの新設開校となる十日町看護専門学校(3年制)の1期生36人は10日入学。男性12人、女性24人。魚沼エリアから17人が入学した。県外からも入学している。先発の新発田看護専門学校は昭和35年、吉田看護専門学校は同43年に開校し、十日町は県立3校目。
1期生の指導体制は、塚田芳久校長(兼任・新発田病院長)、安江栄里子副校長(専任)、専任教員8人、専任事務1人、事務長(兼任・十日町病院事務長)の専任教職員10人体制。塚田校長、安江副校長も講義を受け持ち教壇に立つ。
校歌は作詞作曲小椋佳氏
県立十日町看護専門学校は10日入学式を行い,著名な作詞・作曲家の小椋佳氏による校歌が初披露された。小椋氏は県立看護学校の校歌を担当しており、今回も同氏に依頼した。歌詞は地域のロケーションを思い描く内容と共に、医療現場に向かう人たちへを励ます言葉が並ぶなど、オリジナル性豊かな校歌になっている。同校の行事などで生徒が歌うことになる。
エントランスに小椋佳氏作詞作曲の校歌を掲げる

十日町道路を説明する尾身県議(3日、尾身事務所で)
十日町道路、今年詳細ルート決定
県立十日町病院、今秋全面開業、展望レストランも
県議初当選から継続する尾身孝昭県議(7期、67)の県政報告会見を3日、尾身事務所で開いた。
地域の関心が高い高規格道・十日町道路は「2億円の予算がつき、今年度は法線ルート決定、地質調査、予備設計を行い、どこを通るかのルートが決まる」と事業の進展を話し、六日町インター接続は「野田と六日町インター間の余川地域の用地買収、埋蔵文化財調査など6億3500万円が予算化され、六日町インター接続に一歩近づく」。さらに改築が進み今秋全体開業を迎える県立十日町病院の最上階7階の展望レストランは、地元民間企業の出店が決まったことなど妻有地域に関係する事業を説明した。
十日町病院改築は30億4684万円予算化され今秋、全体開業を迎える。隣接の十日町看護専門学校は10日、36人の1期生が入学。病院と看護学校は「雁木(がんぎ)」でつながる予定。来年から旧病棟取り壊しを行い、その後に雁木設置を行う。病院前のバス停を含め、一体が雨除けの雁木で整備されることになる。
一方、中条第二病院の精神科病徴廃止に対応する精神科医療は「アウトリーチ(訪問)」支援事業が1208万円予算で、中条メンタルケアセンター(540万円予算)が行い、医療介護の多職種により支援活動をする。
妻有地域に関係する主な県事業は次の通り。
▼縄文からつづく文化の魅力体験・発信事業(2627万円)日本博を活用した新潟発。豪農・豪商文化や雪国文化の魅力を体験発信▼児童相談所(一時保護所)環境整備(1976万円)長岡児童相談所増築▼新潟県出身学生ネットワーク構築(85万円)県外大学に進学の県出身者のUターン就職促進。大学入学直後にネットワークを構築し継続的に地元情報を発信▼スマート農林業推進(216万円)マッチングイベント・産学官共同研究・先進事例研修▼園芸拡大スマート農業技術体系実証事業(8千万円)▼CSF緊急対策特別事業(6637万円)県内養豚農場での予防ワクチン接種▼にいがた農業「新3K」人づくり事業(3945万円)稼げる・カッコいい・感動する、就農から定着、経営まで一貫支援▼スマート林業推進(2020万円)森林管理の効率化、航空レーザー計測など▼地籍調査事業(3億9849万円)松代地域で実施▼魚野川流域水環境影響調査事業(1197万円)清津川・魚野川の水環境・水利用の試験放流。R4まで調査活動▼集落雪崩対策費(1896万円)戸数2〜4戸の雪崩危険個所の対策施設▼克雪すまいづくり支援事業(6381万円)11市町、344戸予定など。
保護者、保育士、大学教授らで検討会
ひまわり保育園増築、パブコメも
津南町内を二分して論議され保育園再編統合は、3月議会で新年度予算の修正動議が出せれるなど紛糾したが、原案可決し、新年度に実施設計に入ることになったが、町教委は「保育園整備のための合同検討会」を今月中に立ち上げ、7月には実勢設計発注する方針。この合同員会設置前に町民から意見・要望のパブリックコメント(パブコメ)を求める方針。今週中に町ウエブサイトにアップし、合同委員会設立まで求める方針だ。
今月末、連休前に立ち上げる合同検討員愛会は20人余りを予定。保護者代表(子どもの育ちを想う会などから)、保育士代表(数人)、議会代表数人、アドバイザー委員に県立大人間生活学部・斎藤裕教授を招き、町教委も加わる。予定では今月下旬に立ち上げ、5月中を含め3回程度の検討委員会を開き、パブコメを含め意見や要望を集約し、実施設計に反映したい意向だ。業者選定は、一般的な入札以外に提案型プロポーザル入札など検討する方針だ。なお、議会代表は7日の全協で決まり、議運委員長・草津進氏、総文委員長・石田タマエ氏、産建委員長・滝沢元一郎氏の3人に決まった。
求めるパブコメは、増築する園舎、園庭など周辺整備、休日保育など運営内容など分野別に求める方針。同時に基本設計資料と保育園再編説明会での意見抜粋などを資料公開し、意見を求める方針だ。パブコメは津南町ホームページに掲載。問合せは町教委℡025-765-3113。
「本人が見えない」、村民も困惑 栄村長選挙、26日投票
新型コロナ、活動に影響、集会開けず
投票日まであと15日となった栄村長選。2期目をめざす現職・森川浩市村長(60、雪坪)と、新人の前教育長・宮川幹雄氏(66)の一騎打ちが濃厚となっている。だが新型コロナウイルス感染拡大により、両陣営とも大きい集会は開けず、後援会が製作する政策チラシなどを使った選挙活動が展開。関係者は「いまは人を集めることができない。これまでと同じような選挙はできず、住民も直接話を聞けないので機運が盛り上がっていない」と、前例のない前哨戦への対応に苦慮している実情がある。一方で村民から「ふたりとも政策が似ているように見え、争点が見えない。となると実績を示しやすい現職が有利では」という指摘もある。
森川村長の後援会『明るい元気な村づくりの会』(森川价政会長)は、新型コロナ対応で主だった選挙活動ができないなか、4年間の実績と村政継続による発展を訴える政策チラシを9日までに5回配布。土地開発や農業経営。基幹産業の農業では販売まで関わる「栄村総合株式会社(仮)」設立構想を新たに掲げる。さらに配布チラシには栄村診療所の新たな医師確保など実績を記す。人口減少や財政調整基金の一般会計予算繰入が続き、さらに震災復興基金が来年度でなくなることなどから、将来の財政不安を指摘する声が出ているが『栄村の財政は大丈夫です』と強調するチラシを配布するなどしている。また別のチラシでは地元選出県議をはじめ、近隣の飯山市長、津南町長、十日町市長などの応援メッセージを記したものを配布。この4年間で「県や近隣市町村とのパイプが繋がった」という実績をアピールする戦略をとっている。
森地区にある事務所では、自民党長野支部連合会、公明党長野県支部、村内建設業者一同などによる推薦状が並ぶ。後援会では「本来なら近々決起大会をやる時期だが、現状では人を集まる機会を作るのは難しい。現職ならなおさら国の要請に従うことになる」とする。今回の選挙戦は「集会などあれば人づてにわかるものだが、今回は相手陣営の動きは見えないままだ。何を訴えたいのか」と指摘する。一方で「こちらはチラシなどで村長の4年間の実績、行動力、継続を訴えている。引き続き政策チラシなどでアピールしていく」とする。
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宮川氏後援会は集落座談会などが新型コロナの影響で開催できず、うまくアピールできていない実情がある。後援会『未来につながるむらづくりの会』(宮川吉郎会長)は、ほぼ全村に後援会組織を作り、政策チラシ配布を続ける。宮川氏も後援会員と共に全村を巡るが、「新人なのに集落座談会で直接語りかける機会がないのは痛い」と困惑する。決起大会も現状では開催は難しいと考えており「状況的には4年間の自身の村政が選挙戦みたいなものである現職が圧倒的に有利。それでも地道に村内を巡り進めるしかない」と話す。
政策チラシ配布は4枚を配布予定。その中で大きく掲げる施策は、村の基幹産業である農業をサポートする「営農システム支援室(仮)」設置。住民の高齢化や農業の担い手不足を踏まえ、国施策である中山間地等直接支払制度は第5期に集落戦略策定が求められるなどの変化があるなか、営農組織などとの相談相手となる部署。後援会では「国は農業の広域化と効率化を言うが、高齢化が進む村では対応は難しい、そこに行政の支援がいる。村民も農地の継続は難しいが、荒らしたくないという気持ちを持っている。そこを支える仕組みがいる」とする。
一方で宮川氏の村役場課長職経験や10年余の教育長在職などの実績を上げ「現村政は議会や職員としっくりいっていない印象がある。宮川は行政の仕組みを知っており、強みは『この人なら大丈夫』という人柄がある。集落の大小関わらず、本人が直接村内を回り、地道な選挙活動を続けていくしかない」としている。

小学校入学式でピッカピカの1年生が入場(8日、田沢小で)

先輩たちに迎えられて入場する中学1年生(8日、川西中で)

森川校長に宣誓した池田壮吾くん(6日、十日町高校)

新入生がいない中で迎えた貝野小の始業式(7日)

第15期生44人を迎えた津南中等校の入学式(6日)
