
2020年4月
2020年4月25日(土)

「医療崩壊する」と地元医師会が緊急会見で危機感示す(8日)
感染警戒、「帰省しないで」 大型連休
妻有エリア、健康施設・公共施設ほぼ全館休業
新型コロナウイルスの感染拡大が全国的に進み、「3密注意」「外出自粛」が連日呼びかけられているが、首都圏など都市部を中心にさらに感染拡大が広がる。地方出身者がいっせいに帰省・帰郷する大型連休が今月末から始まり、地方の市町村は「最大のヤマ場をむかえる」と警戒感を強めている。十日町市・津南町・栄村でも「不要不急の外出を控える」「3密注意」、さらに強く呼びかけるのが『帰省や帰郷を厳に控えてください』。連休中の公共施設・観光施設はほぼ休館・休業・休止を決めており、観光客向けには「当地を来訪されても主要な観光施設はほぼすべて休館です」などと事前情報を流している。だが、一部ではすでに「首都圏脱出」の傾向も見られ、加えて山菜採りシーズンとも重なり、市町村はさらに厳しい危機感を持って警戒している。
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十日町市・津南町・栄村の新型コロナウイルス感染症対策本部は、サイトやFB(フェイスブック)、ツイッターなどあらゆる媒体で情報発信する一方、地域団体などへ情報提供し、重層的に「警戒感」を流している。特に感染拡大が懸念される「連休対策」では、『地域外からの一時帰省や帰郷、訪問などは厳に控えてください』、さらに『地域内に転入の場合、2週間の自宅待機』を要請している。
感染拡大対応は、「最悪想定」での対策が求められる。十日町市中魚沼郡医師会は8日の緊急会見で「妻有地域で感染者が大幅に増加した場合、医療崩壊を起こし、命が救えなくなる」と危機感を訴えた。その危機感は月末からの連休への「不安と危機感」でもある。
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十日町市中魚沼郡医師会の副会長・富田浩医師は21日、取材に答えた。
「首都圏と同じレベルに市町村も一段先に行ってほしい。今日(21日)花角知事が表明したが、仕事を休んでほしい。市町村もすぐに同調してほしい。市町村医療は脆弱であり先日の会見の通り、感染者がこの地域で多発したらすぐに医療崩壊になる、それほどこの地域の医療体制は弱い」。そのためにも、「日帰り温泉・道の駅、さらに遊興場など地域外からの利用や密集状態になる場所は本来閉鎖すべき場所である。取り組みが後手後手になり、結果、感染拡大になった場合を考えると、とてももどかしい」と取り組み強化を促す。
一方、医療体制では「連休対応が急務。休日救急センターを川西に戻したのは、医療福祉総合センターは外来患者以外も出入りがあるため感染の危険度が高い。緊急的にも一定の隔離ができる場の確保が不可欠。感染者が発生した場合の事前対策も重要。症状がない感染者の収容先を確保しておく必要がある。例えば、これは地元行政や経営者の協力が不可欠だが、休業中のグリーンピア津南、あるいはベルナティオの一部施設など、もしもの場合を想定した官民連携の取り組みを今から整えておく必要がある」。
さらに人員体制では「人材の確保も大切。休校中の小中学校、高校など養護教諭への協力要請、さらに学校の教諭にもお願いしたい。すでに協力いただいている看護師資格を持つ方々、かつて医療関係に関わっていた方々など、最悪想定の中で取り組むべき準備の体制を作り上げておくべきだろう。それは今後、新型コロナ以外でも大きな役割を果たすことになる」と話す。
さらに、月末からの連休への危機感を強調する。「ドイツの例のように『地域を守るために、帰ってこないで。おじいちゃん・おばちゃんを守るために、帰省しないで』と、この連休はそうした意識を徹底して、新型コロナウイルスを妻有に入れないという強い意思と取り組みが必要」と地域挙げての取り組み、特に帰省・帰郷への警鐘を強く訴えている。
医師会緊急アピール「強いリーダーシップ発揮を」
妻有地域で爆発的な感染者増加が起こった場合、すでに新潟市、長岡市、上越市、魚沼地域でも感染蔓延の発生が予想され、その場合、患者を他地域の医療機関への受け入れはできず、妻有地域にある医療提供体制だけで患者を治療せざるを得ない状況に追い込まれる可能性が十分にある。推計する入院患者数は十日町病院(275床)の半数以上の病床が新型コロナウイルス患者で埋められることを意味する。
十日町病院が現在保有する人工呼吸器は数台で、人工呼吸器でも患者の呼吸状態を維持できない時に使用の人工心肺(ECMO)は妻有地域に1台もない。これは、数台の人工呼吸器がすべて使用の状況で、新規に呼吸不全の患者が来院しても、患者を助ける術がないという窮状になり、死者数が急増することを意味する。
新型コロナウイルスで入院治療が必要な患者数が急激に増えた状況下では、他の通常の医療も当然提供できなくなり、本来受けられる医療を受けることができずに亡くなってしまう患者が多数発生する。例えば心筋梗塞のカテーテル治療、癌の手術・抗がん剤治療・放射線治療、人工透析など。地域の中核病院が新型コロナウイルス感染症を受け入れるリスクは、ここにある。
妻有地域にある限られた医療資源『医師数、人工呼吸器の台数、十日町病院・松代病院・津南病院には本来集中治療室がなく、集中治療を専門とする医師がいないという現状等』を考えると、推計よりもっと早い段階で医療崩壊が容易に起こることが危惧される。高齢者施設や障害者施設でのクラスター発生で数十人規模で患者が一気に発生し、医療が崩壊してしまう危険性は流行期のいつでも存在する。
地域の危機を未然に防ぐために今必要なことは、一にも二にも感染者を出さない、増やさないことである。津波のような自然災害と感染症の異なる点は、私たちの努力次第で感染の波の大きさを変えることができることである。そのために、妻有地域として現在できるあらゆる策を講じる必要がある。
都市部を中心に感染者の急激な増加が起き、全国に緊急事態宣言が発令された今、妻有地域における水際対策が不可欠。妻有地域への往来の自粛に加えて、妻有地域へ移動された方は14日間の外出自粛を求め、健康観察期間を設ける必要性を強く訴える。
妻有地域でクラスターを作らないため「3密」が懸念される会合・集会・娯楽施設利用・夜の街への外出など自粛要請を行うと同時に、私たち一人一人が自身の体調管理、ソーシャルディスタンスを意識して生活することが極めて重要である。
十日町市中魚沼郡医師会を通じ医療従事者の私たちがどんな懸念を持ち、住民一人一人にどう行動していただきたいか、強いメッセージを発する必要性を感じている。さらに、十日町市や津南町の妻有地域の水際対策において強力なリーダーシップの発揮を期待する。
十日町市中魚沼郡医師会(白倉悠企医師)

今週20日から規制緩和で商店が再開(22日、メットマンで)

子どもたちが遊ぶ小石
緊急寄稿・新型コロナ対策
そしてドイツは今
翻訳家・ドイツ在住 ヴァウアー葉子(十日町市出身)
オリンピック延期がどうのと、今なら「それどころじゃない」と言いたくなるテーマが話題の中心だった頃、ヨーロッパは新型コロナウイルスの猛火で既に「火の海」になっていた。
このウイルスの一番怖いところは、特に若い世代は無症状の人も多くて、当人も気がつかないうちに、感染を広げている点にある。
2020年4月18日現在、ドイツの感染者数は約14万人、うち治癒者約8万人、亡くなった人の数は約4000人である。これが私たちの住む町メットマンに影響を与えないわけがない。
ここは、ドイツにあるノルトライン・ヴェストファーレン州の州都デュッセルドルフ市から15㎞ほど東方にある人口5万人ほどの町で、ネアンデルタールという自然保護区域を背景にした田園地帯の中にある。
メルケル首相が3月22日に「接触禁止」を宣言して以来、私たちの生活も大きく変わった。
接触禁止
「自粛」と違うところは、罰則がある点である。
例えば、公共の場で何人か集まってピクニックすると、1人あたり250ユーロ(約3万円)の罰金、コンサートなら、いくら屋外でも主催者には5000ユーロ(約60万円)の罰金+起訴、参加者にも1人あたり400ユーロ(約5万円)の罰金が科せられる。
店舗で営業しているのはスーパー、薬局、ドラッグストアといった生活必需品を扱うところのみだが、レストランは配達なら許可されている。
接触禁止はまず「1・5㍍〜2㍍の距離を保つ」に始まる。それは店舗の中も同様で、規模により入店客数に制限があって、違反すると500ユーロ(約6万円)〜1000ユーロ(約12万円)の罰金である。
そのため、各スーパーの出入り口では店員が入店数をチェックしていて、入店できる人数分しかカートを用意していない。2人で行けば、各自が1台ずつカートを押して入店するよう指示され、カートが無ければ、買い物の済んだ人がカートを返しに来るまで待っていなければならない。
近所の人との立ち話も必ず距離を置く。3人くらいで立ち話をしている時に、また誰か別の知り合いが来たりすると、誰かが「じゃあね」と言って、話の輪から離れる。「グループ」ができるのを避けるためなので、これで気を悪くする人はいない。新型コロナウイルスというのは、マスクをしても防げないし、背筋が寒くなるほど怖いものだとの意識が徹底しているためである。
コロナに負けるな
さて、ドイツでも3月22日以来、保育園から小学校、中学、高校、大学、すべて閉鎖になっていて、友だちと遊ぶことさえできない子供たちのストレスは溜まりっぱなしである。こういう中でこそ、アイディア力が問われる。
例えば「宝探しリレー」。
フランクフルトに住む娘には11歳の息子と10歳の娘がいるが、友だちと「宝探しリレー」のようなゲームを楽しんだりしているとのことである。 石を拾ってきて彩色する。これを兄妹2人で何か所かに置いてくる。そのあとで友だちに置き場所のヒントを教える。またはヒントとなる写真を送る。探しに出た友だちがそれを見つけたら、場所を変えて置き直し、別の友だちにその場所のヒントを教える。電話で話しながら探すのも楽しいそうである。
2人までなら一緒に行動してよいので、これならグループを作らずに友だちと遊ぶことができるし、運動にもなる。
ドライブイン・シアター
我が町の屋内プールも現在閉鎖中であるが、その駐車場を利用してドライブイン・シアターが設置された。つまり「3密」を避けつつ大スクリーンで映画を楽しもうという構想である。予約を入れる時に、飲み物やポップコーンも注文しておける。映画は今のところ子供向けのみだが、大人向けの映画も検討中で、さらにはシアターの数を増やすことも計画中とのことだ。
国民の支持率70%というメルケル首相のコロナ対策により、感染者の増え方が減速し始めたことから、4月20日から規制が緩和され、美容院、衣料品店等々、小規模な店舗は感染防止対策に細心の注意を払うとの条件下で営業を再開できることになった。
さらに、感染者14万人の半分以上にあたる8万人が治癒していることから、その血液を採取して、抗体を備えた血漿を治療に使い始めている。
「希望」はいつも私たちのそばにいるが、自らの努力を怠ると力を発揮してくれない。

新聞やテレビなど11社が訪れ、関心を集めた津南中等校の公開オンライン学習(16日)
オンライン授業、高まる必要性
津南中等校は3年前導入、町立小中学校は今年度整備
新型コロナウイルスの影響で、各学校が休校を余儀なくされているなか、「オンライン学習」を求める声が高まっている。県立津南中等教育学校(小林英明校長、330人)は3年前からオンライン学習を開始し、後期課程(高校1〜3年)が自宅課題や自主学習に役立てている。今年度は新型コロナによる臨時休校に備え、全学年で導入を図る。一方、津南町立小中学校は、国が進める学校のICT環境整備や児童生徒1人一台学習用端末を持つ『GIGAスクール構想』による補助金を受け今年度、校舎内の無線LAN環境を整備し、国補助を受けながらネットワーク環境の整備をまず進める計画だが、オンライン学習への道のりを歩みだしたばかり。予期せぬコロナウイルスの影響で、一刻も早い導入が求められる事態となっている。
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新型コロナの影響で県立高校の今月15日〜5月6日までの再休校が決まった。その翌日の16日、県立津南中等校は臨時休校に伴うオンライン学習と、テレビ会議用アプリ『Zoom』を使ったホームルームの公開授業を実施。5学年55人(2クラス)と教員がノートパソコンやタブレット、スマートフォンを通じホールルームと英語の授業を行い、桑原津南町長も来訪し、臨時休校で学校に通えない生徒を激励した。
オンライン学習は、自宅課題や指定問題を配信することで、生徒は自分の力に応じた問題に取り組み、教員は個々の生徒の取り組み状況や学習履歴を確認できる利点がある。今月15日からの臨時休校中はオンライン学習に加え、朝と夕のホームルームのためテレビ会議用アプリ『Zoom』を導入。画面には自宅で過ごす生徒たちの顔がそれぞれ映り込み、端末を通し、それぞれの声が聞こえる仕組み。インターネットを通したテレビ会議を、5学年のひとり、桑原加奈さんは「画面を通してみんなの表情が見れて良かったと思います。オンラインの英語は、リスニングなど先生と直接やり取りができるのでいいなと感じました」と話した。
同校ではこれまで、校舎内に独自の光回線とWi-Fiにより、探究学習の発表や、海外研修の訪問校との交流でネット電話サービス『スカイプ』を使った実績があり、テレビ会議システムを全校で活用する素地があると判断し、今回初めてホームルームにテレビ会議システムを活用。入学したばかりの新1年生も、全員のネット環境が整い次第、オンライン学習など開始する予定。小林校長は「ホームルームは生徒の顔が見えて繋がった方が、独りじゃなく、繋がっている意識が生まれる。学習の支援も、双方向のコミュニケーションとしてできる」とねらいを話す。
一方、桑原町長。臨時休校中にオンライン学習をする事例を間近で見るなか「素晴らしい自然環境がある津南町。それに教育に魅力がある町として認知を広め、移住と組み合わせられないか考えている。その中で津南中等の取り組みは素晴らしい。勉強させて貰った」と話した。

新型コロナの影響もあり、住民と距離を取りながら会話する森川村長(21日、極野で)

100人余の支持者を前に「村政を変える」と宮川幹雄氏(21日朝9時、野田沢で)
現新対決、争点は4年間の評価 栄村村長選挙
森川浩市村長「行政は継続だ」、宮川幹雄氏「信頼感に欠ける」
現村政の是非を問う形となっている栄村村長選はいよいよあす26日に投票日を迎える。現職で1期の森川浩市村長(60、雪坪)と、元教育長で新人の農業・宮川幹雄氏(66、野田沢)の一騎打ち。新型コロナウイルスの影響で村民に直接政策を主張する機会がほぼなく、前例のないチラシ選挙の前哨戦を行ったが両陣営ともどこまで浸透したかは不透明だ。森川村長は1期4年の実績と継続を強調し「行政は継続だ。4年間でたくさんの事業の種をまいた。引き続き村の舵を取り、キレイな花を咲かせたい」と訴える。一方、宮川氏は「今の森川村政でいいのか。行政の運営も財政の運営も、あらゆる面で信頼に欠けている」と現村政への批判を強めている。接戦が予想されるなか、結果のカギを握るのは、波 及効果が高い女性層への浸透度となる。村長選の開票は26日午後8時45分から村役場で行い、10時半前には結果が出る見込み。今月20日付の有権者数は1590人(男760人、女830人)。
国県との繋がり、4年の実績強調 森川浩市村長
「行政は継続だ」。1期4年を務め、『日本一安心できる村』を掲げる現職・森川浩市村長は強く訴える。告示日の21日朝、地元の志久見公民館で決起集会を兼ね行った出陣式。参集者は百人余。新型コロナウイルス影響で皆がマスク着用。出陣式は宮本衡司県議、新潟・尾身孝昭県議、元参院・若林健太氏、元衆院・小松裕氏など、自民党や公明党の関係者が集った。国県事業の導入による道路などの事業促進を掲げるなか「小さな村は、国、国会議員、県、県議、近隣市町村組長など繋がりがなければ希望した事業へのお金が届かない」と4年間で各界との繋がりを構築して来た実績を語る。
特命企画課(当初は特命対策課)の設置、副村長民間公募、目安箱の設置など行った1期目。2期目は農業経営、販売促進など一体的に担う「栄村総合株式会社」(仮称)の設立、副村長は民間の事業感覚を持つ一般登用を示す。一方、震災復興基金が来年度で無くなることなどで財政不安を指摘する声があるなか「この4年間毎年、貯金は1年間に2千万円弱、4億8千万円を積んだ。約10年は大丈夫」と強調した。
選挙期間中も新型コロナ対応に追われるが「しかし応援してくれている大勢の皆さんの力があれば、新型コロナ対策に精一杯取り組み、皆さんの命、健康を守る」と支持を訴えた。
問題多い村政、終止符求める 宮川幹雄氏
宮川幹雄選対は告示の21日朝8時半、野田沢の候補自宅前で出陣式を行い、集まった支持者百人余を前に宮川氏は「今の村政でいいのでしょうか。今の森川村政でいいのでしょうか。決してよくない」と、厳しい表情で第一声の最初の言葉に力を込めた。この言葉に今回の選挙戦のすべてが込められている。宮川選対は選挙中、この問題意識を全村に広め、現職森川村政の終止符を求め、村民支持を集める方針だ。
出馬決意に至る経過で一貫するのが「問題多い森川村政」であり、村予算審議の村議から疑問符が上がり、それを受け今年1月9日宮川氏は出馬決意。後援会立ち上げ後、集落懇談を予定したが新型コロナウイルスで開けず、大幅に運動方針を修正。政策チラシと集落回りを展開。選対幹部は「集落懇談が開けなかったのが一番痛い。だが全村を回り、相当な手ごたえを感じている」と話す。
21日の出陣で選対本部長・宮川吉郎後援会長は「現職との一騎打ち、厳しい選挙戦だ。栄村の将来がかかっている」と宮川支持を訴える。さらに幹事長・保坂良徳村議は「彼はどういう立場に村長がいるのか、どういう事をしなければならないのか、そういう認識がほとんどない。うまくいかないと人に責任を押し付け、目安箱を設置し、まるで殿様気分のように勘違いしている部分が多々見られた。こういう人に栄村の行政運営は任せられない」と厳しく糾弾し、宮川支持を訴えた。

伊達つつじ園で芽の状態を調べる県立植物園の倉重園長(中央)ら
再び色鮮やかな公園を
伊達つつじ原 県内唯一、適期防除で再生に
再び色鮮やかなツツジの原に—。大正時代から昭和初期にかけて人気の花見名所として賑わっていたという歴史がある「伊達のつつじ原公園」(十日町市伊達地内)。5年ほど前から徐々に花が咲かなくなり、昨年は壊滅状態となった。同公園を維持管理している「つつじ原を蘇えらせる会」(宮澤邦夫会長)では、十日町地域振興局の協力を受け20日、県立植物園の倉重祐二園長を招いて調査してもらった。倉重園長は「芽が虫に食われている状態。適切な時期に害虫防除すれば再び花が咲くようになるはず」と話し、「ぜひ、すばらしいつつじ原にして下さい」と地元民を激励した。
同つつじ原は、地域の宝を復活させようと平成9年に伊達地区の有志が蘇えらせる会を発足。以来、地道な復興作業を進め維持管理している。面積は約2㌶で、自生しているヤマツツジや植栽したレンゲツツジなど2千株以上があるという。かつては見頃を迎える5月下旬からオレンジ色に埋め尽くされるほどの景観を誇っていたが、5年ほど前から徐々に開花が減少。昨年は壊滅状態にまでなった。会では懸命に薬剤散布など行ってきたが効果が出ず、お手上げ状態だった。
宮澤会長らは「昨年は春から8月下旬まで薬剤による害虫駆除を3回行ってきた」などと説明。これに対し倉重園長は、ツツジ株の状態を見ながら「9月に入ってから花芽が食われている状態。8月下旬以降の防除も必要だ。よい薬剤があるのでぜひタイミングを見計らって散布してほしい」と指摘。さらに「県内にツツジ園はなく、さらにこれだけヤマツツジがまとまっている場所は他にない。50年以上の古い株もあり、貴重な場所なので大いにPRしていってほしい」と話した。
なお、来月第1週の土日に「つつじ原公園まつり」を開く予定だったが、開花の減少と新型コロナ問題もあり中止した。
