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2019年12月

2019年12月21日(土)

3年後に4万人台、続く人口減 十日町市人口ビジョン

10代〜40代女性減も要因、移住定住の積極策必要

 行政のすべての分野に影響する人口減少が止まらない。各自治体は、依然として進む首都圏への人口集中に歯止めをかける取り組みに総力を挙げているが、その流れは続いている。国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」に連動する市町村単位の取り組みも進む。十日町市は同創生ビジョン策定に合わせ、「人口ビジョン」の見直しを実施。前回平成27年10月策定の人口ビジョンを検証し、2045年(令和27年)までの人口推計を公表した。いまの人口減少が続くと2021年(同3年)には5万人を割り込む可能性があり、2025年は推計4万7千人台になるとしている。多様な要因があるが、「女性人口の減少」による出生数の減少があり、策定ビジョンでは「若年女性の人口増加や将来の出生数の増加につながる方策が必要」としている。人口ビジョンは16日の市議会全協で公表した。

 前回の人口ビジョン策定は2015年(平成27年)10月1日の国勢調査の数値で推計。この時の十日町市の人口5万4917人。この5年前の推計値5万5643人との差を「出生数が想定よりも減少し、15歳〜49歳の女性人口の減少が想定より早く進んだ」と分析している。

 今回の策定では、「十日町市は新潟県や国と比べ、人口減少が20年以上早く進展」している現実を踏まえ推計している。全国的に行政が推計値の参考にする社人研(国立社会保障・人口問題研究所)より減少傾向を抑えての推計になっている。その要因は、「自然減や社会減への対策を講じることで、老年人口割合が2025年(令和7年)をピークに低下に転じると共に、生産年齢人口割合の上昇が見込める」としている。

 ただ、人口減少が進み、推計では2020年・5万1140人、2025年・4万7552人、2030年・4万4058人と推計し、2035年には4万695人と、4万人さえも割り込む推計となっている。

 ビジョンでは対策として、「16歳〜18歳アンケートで、5割以上が十日町市に戻ってきたい、住み続けたい」から、Uターン施策の積極的な取り組みをあげる。さらに、出生数に直結する15歳〜49歳女性の定住促進をあげる。「女性を中心とした住みやすい環境づくりの要望の実現を進める」としている。一方で、定住率が7割以上と全国的にも高い「地域おこし協力隊」などI・Jターンの積極的な受け入れも有効とする。

 さらに子育て世代への支援策の充実をあげ、「多くが子どもを持ちたいと考えている。子育て世帯への経済的支援・仕事との両立できる環境整備」をあげ、子育て世帯が「十日町市で暮らしたい」と思う施策の積極的な取り組みが必要とする。さらに独身率が年々向上するなか、「独身の人が気軽に参加できる出会いの場づくりを」としている。

聖火リレー、段十ろうスタート 市区間2.41キロを14人リレー

著名人ランナー、今後発表へ

 2020東京オリンピックの聖火リレールートと県募集ランナーを17日発表した。十日町市区間は越後妻有文化ホール「段十ろう」から市博物館までの2・41㌔を14人のランナーがリレーする。今回発表のランナー以外に五輪パートナー企業募集枠があり今後発表する。県枠発表には十日町市と津南町の2人が含まれている。

 新潟県の聖火リレーは6月5、6日の土日行う。5日は大火被災地の糸魚川をスタート、上越市、柏崎市、佐渡市、十日町市、南魚沼市。6日は長岡市から三条・燕市、弥彦村、新潟市、阿賀町、村上市へ。全13区間34㌔。佐渡市から十日町市は遠隔地用に許可される2つの聖火「親子の火」を使いリレーする。

 5日の十日町リレーは段十ろう〜国道117号〜キナーレ〜十日町駅西口〜博物館の2・41㌔。14人のランナーが聖火をつなぐ。1人2百㍍弱の予定。聖火リレーはスポンサー提供の五輪PR車が先導し聖火ランナーが続くパレード形式。誰がどの区間を走るかは未定。十日町市での聖火リレーは夕刻の時間帯になる予定。十日町市からはマラソン出場の服部勇馬選手の弟・服部風馬さん(服部総業)、津南町の上村光夫さん(ニューGP津南)が選ばれた。

 県内聖火リレーは13区間34㌔を169人が走り、今回発表の県募集枠43人のほか五輪パートナー企業4社(トヨタ、NTT、コカコーラ、日本生命)の募集枠125人と1グループがあり今後発表。著名人などが含まれる予定だ。県発表には歌手の小林幸子さん、芸人の横澤夏子さん、アイドルグループNegiccoメンバーなどが選ばれ、県公募は2420件あり、倍率64・9倍だった。

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受賞を喜ぶ小網校長、藤巻前会長、柳会長、山岸校長(左から)

ほほえみの共生教育、高く評価

 長年にわたり、特別支援が必要な児童生徒の活動を支え続けてきた「十小・十中・ふれあいの丘ほほえみの会」(柳典孝会長=十小PTA会長兼任)が、障がい者の生涯学習支援活動の功績で3日、文部科学大臣表彰を受けた。柳会長は「56年間にわたった先輩方の活動に対する表彰で、評価されたことは純粋に嬉しい。当会の活動はこの環境でしかできないもので、文科省で事例発表をしたいほどだった」と喜びを語った。

 十小は昭和32年に郡市内初の特別支援学級を開設し、支援教育の拠点を担ってきた。同会は38年にできた特別支援教育振興が目的の「十日町小・十日町中手をつなぐ親の会」が前身。十小PTAは平成5年から新校舎建設に向けた運動を始め「養護学校がほしい会」と連携して「新校舎・夢の学校」ビジョンを策定。これは国内には例がない特別支援学校を小学校に併設した共生教育学校を建設しようというもので、14年には十小内に小出養護学校ふれあいの丘分校が開校した。

 十小・市立ふれあいの丘支援学校・市立発達支援センターおひさまの3施設が一体となった夢の学校が平成24年に完成。翌年には十小・十中・ふれあいの丘ほほえみの会と名称を変え、地域と保護者からの寄付金と補助金等を財源として保護者とボランティア、教職員の親睦会、花火大会とクリスマス会の開催、保護者への啓発活動、十小と十中の特別支援学級、ふれあい支援校の活動費支援を行っている。

 山岸一朗十小校長は「夢の学校は多くの積み重ねでこの校地に出来たが、受賞は身が引き締まる思い」、小網輝夫ふれあい支援校長は「障がいのある子は引きこもりがちになるが、社会と繋がりが持てる会は意義がある」と話した。

01.12.21マイコレ展1web今週の記事.jpg

自慢の逸品ズラリ 第10回マイ・コレクション展

 〇…地元コレクターが持つ稀品・珍品が集まり、毎回人気の「第10回マイ・コレクション展」が津南町なじょもんで14日から始まった。今回も「なにコレ」と思わず見入ってしまう収集品がいっぱい。お風呂に浮かべて楽しいあひる(ラバーダック)5百個余、CM『豆は伝六』でおなじみの伝六豆の付属品である節分向け鬼の面約20年分を集め変遷を楽しめるもの、今月末に第50作目の新作公開となる映画『男はつらいよ』の全ポスター、幕末三舟(山岡鉄舟、勝海舟、髙橋泥舟)の書画と和道具など、どうやって集めたか聞きたくなるようなものを9人が出品。鑑賞無料。会期は2月24日まで。

 〇…県立歴史博物館の企画展「マイ・コレクション・ワールド」を参考に、なじょもん友の会(内山恭伴会長)企画で始まり10年目。第1回から浮世絵コレクションやテレホンカード、写真機など続けて出品している野上春雄さん(71、北新田)。今回は兄から譲り受けたという白川郷などのパネル写真16点を飾った。「あまりお金をかけず、ネットは見ず、常に人から貰うという覚悟でいろいろ集めている。他人にはゴミだが、自分にとっては宝物。こうした企画展で日の目を見る機会があるのは嬉しいね」と笑顔を見せる。

 〇…昨年は花魁の髪飾りなど出品した西潟浩平さん(80、福島)。今年は終戦直後に無数に出版された『カストリ雑誌』、それも貴重な創刊号を中心に百冊余を出した。西潟さんは「父は料理人で、戦後東京から引き揚げて来る時、5、6冊を持ってきたのを覚えている。その頃は何にもわからなかったが、40歳ぐらいの時に思い出し、歴史の資料として集めた方がいいかなと思って始めた」と振り返る。昭和20年代初期の貴重な雑誌。「戦中の軍国主義で規制されていたものが一気に出たのがカストリ雑誌。当時の風俗、政治、スキャンダル、あらゆる庶民の生活が詰まっている。自宅には1500冊ぐらいあるが、その一部だね」とマイコレクションを語っていた。

2019年12月14日(土)

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新体制の経営陣・岩崎氏(左から2人目)が経営方針を話す(手前が古澤社長、8日、JA津南町で)

40代経営陣で新体制、バイオ産業も 津南醸造

バイオベンチャーの鈴木氏資本参加、3年後黒字化

 酒米栽培農家やJA津南町、津南町が共同出資し、酒造権を取得、秋山郷入口に酒造工場を建設し酒造産業に取り組む「津南醸造株式会社」は8日、第66期株主総会を開き、会社の財務内容のスリム化の減資を行うと共に、第三者割当を行い、筆頭株主に世界規模のバイオ・ベンチャーに取り組む企業役員が個人出資し、加えて同社系の人材や国内酒造業界に関係する新役員も加わり、いずれも40代であり、新たな経営戦略に乗り出す体制を作り上げた。古澤有三社長は「業界で売り上げが伸びている高級酒を伸ばすと共に、海外戦略に取り組む。新たな経営陣を招き、さらなる展開に挑みたい」と、新たなチャレンジへの意気込みを見せている。

 筆頭株主には、ミドリムシによるジェット燃料開発で一躍世界規模で注目を集めるバイオ・ベンチャー企業「ユーグレナ」の執行役員・鈴木健吾氏(40)。ただ鈴木は「個人的な出資であり、ユーグレナとは直接的な関係はない」としている。同社海外営業担当課長の岩崎秀貴氏(38)がアドバイザーに就き、製造・販売担当として活動する。

 新取締役には、長岡市でFARM8を経営する樺沢敦氏(40)、NTTドコモでM&A担当した経営管理の佐久間善太郎氏(40)の2人が加わり、前期から入るミシュラン店を経営する村山太一氏(44)と共に、取締役6人のうち、3人が40代という積極的な経営戦略が期待される。

 今回、津南醸造の取締役に就き、さらに発酵業界で躍進するFRAM8の樺沢氏は『HAKKO』ブランドで知られ、酒粕活用の発酵食品など開発・販売し、人気の甘酒など幅広い発酵食品を手掛ける。「津南の雪の魅力、米・発酵の可能性、酒粕の活用、そこに科学的な要素を取り入れ新しい価値を生み出す、その取り組みになる」と樺沢氏。自社特許を持ち、その活用にも期待が集まる。今回の人材投入で従来の伝統的な酒造会社から、バイオ分野の一線で活動する人材が役職やアドバイザーに就き、「新生・津南醸造の誕生」ともいえる経営体制が誕生している。

 8日の定期株主総会では、資本金3億737万1125円を資本金3964万9600円に減資。これにより累積損失はゼロとなり会社の財務内容のスリム化、外見的な健全化が実現。ここに鈴木氏が1499万9960円出資。このため鈴木氏が筆頭株主となり出資比率26・54%、JA津南町18・50%、津南町11・86%となる。総株主は312人。

 今後の酒造戦略と営業展開について岩崎氏は「先ずは国内でのブランドを固め、その後、外国に営業展開したい。売れる酒、消費者が求める酒を造る。純米酒を主体に取り組み、製造コストをあげる要因の普通酒は抑えていく。コストを抑え、高級酒製造で売上に結びつけたい」、さらに外国展開では「パートナーが重要。パートナー選びでその先の営業戦略が決まる」と、これまでの営業実績で海外戦略に取り組む方針だ。

 さらに筆頭株主でユーグレナの研究者でもあり、微生物分野の発酵での研究を進める鈴木氏は「雪への関心はある。熱帯エリアでしかできない微生物発酵もあるが、積雪地でできる分野もあるだろう。雪の特性を生かした事業展開などにも関心がある」と雪への関心を示している。

 なお、新体制のスタートにより、津南醸造と樺沢氏のFRAM8は業務提携を結ぶと共に今回新体制に関わる人材を通じて営業展開を行い、今期売上6300万円、来年度7600万円、2021年には9600万円まで業績を伸ばし、黒字収支ラインまで持っていく経営方針だ。

​段十ろう「あり方検討委」答申前に管理指定? 

市議会総文は可決、16日の本会議採決へ

 十日町市教委育委員会が管理運営する文化施設「越後妻有文化ホール・中央公民館」(段十ろう)を指定管理制度による民間委託議案が12月議会に提案され、11日、総務文教常任委員会で審議し、市教委が今年9月設置の「市社会教育・公民館活動のあり方検討委員会」の結論を待たずに指定管理する取り組みに疑義が出たが、賛成多数で来年4月からの指定管理移行を決めた。この議案は16日の本会議で委員会報告されるが、議員から疑義が出るか関心が集まる。

 指定管理は、段十ろう全体の施設管理の一元化をはかるもので、管理コスト軽減や施設機器操作の地元人材育成、市民活動の充実などとするが、総文委員会では社会教育分野の公民館活動では市民団体100余りが利用するなか、「市民利用への影響、特に利用料への影響はないか」や「公民館活動とは何か。あり方検討委員会を設置して議論しているなか、その審議を待っての指定管理でもいいのでは」などの意見が出た。

 市教委は「指定管理はホールの企画運営は委託分野に入れていない。公民館活動分野は従来通り市直営で行い活動への影響はない。利用料は条例制定内で受託者が決める」などと説明、指定管理移行への理解を求めた。

 市教委が今年9月27日設置の「あり方検討委員会」は市社会教育関係者や市内活動団体、利用団体など代表12人で構成。その目的は「社会教育および公民館活動のあり方を検討する」としており、10地区館・25分館の統廃合や使用料減免など施設管理分野も検討する。総文委員会では「あり方検討委員会がいまあり方を検討している」と指定管理見送りを求める意見があり、「継続審議」提案があったが、賛成少数で否決された。今後、16日の本会議で委員会報告され、本会議採決される。

 なお指定管理予定者は「SOメンテナンス株式会社」(小林聡社長、平成28年11月設立、資本金590万円、市内高田町)。委託費は新年度予算で約6936万円を予定、5年の指定管理期間として議案提案している。

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妻有地域の看護・介護の実践を紹介した​発表会

外国人結核患者のサポートを

 全国的に東南アジアでの出生や滞在者を中心に、外国人結核患者が増加傾向にあるなか、妻有地域でも今年、発症者が出たことが分かった。7日に開いた第3回妻有地域看護・介護実践発表会で、十日町保健所の保健師らが「外国人結核患者の支援について」と題し発表。ベトナム国籍の30代女性とフィリピン生まれの20代男性の2例を紹介し「今後、妻有地域へも東南アジアを中心に外国人は増えてくるはず。結核が発症した場合のサポート体制が重要」と職場など周りでの支援の必要性を強調した。

 昨年度の外国人結核患者は全国で約千6百人が数えられ、県内ではここ数年、10人程度だという。東南アジア地域では、結核が蔓延しており、出生者や滞在者が発症するケースが多いという。

 今回の事例では、職場健診で結核の発見につながったが、日本語が通じず翻訳アプリや通訳を頼んで対応したことや、子どもの入院や出産などで医療費がかさみ、経済的困難を訴えて治療に難色を示すこともあった。このため、保健師らが公費負担等制度利用の手続きや相談もサポートした。

 担当したひとり、青木真由美保健師は「外国人結核患者は、医療以外の様々な問題を抱えていることが多く、結核の治療を支えていくには生活の様々な課題に対応していくことが求められる」と指摘。「患者の治療や生活を支えていくには、コミュニケーション手段の確保と、職場や医療機関などとの連携が必須」と訴えた。

 今後、妻有地域でも事業所の人手不足による外国人就労者の増加が確実視され、支援体制の確立が求められている。

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ウエイトに取り組む日韓のトップレベル高校生選手らが津南で​合宿交流した(11日)

初の日韓交流合宿、ニュー・グリーンピア津南で

高校生30人、「最高の練習環境」 ウエイトリフティング

 未来の五輪選手たちが津南に集った。ウェイトリフティングに取り組む、全国トップクラスの高校生選手15人と、韓国の同世代選手15人で構成する「日韓交流合宿」は7〜12日、ニュー・グリーンピア津南で開催。国内高校生は全国選抜大会で優勝した北海道から九州の高校生メンバーが集い、国を超え共同練習。昼はトレーニング、美味しい食事と温泉で疲労回復しながら、スポーツ交流を深めた。日韓交流合宿は、2002年のサッカーワールドカップ共催を契機に始まり、毎年11月に韓国、12月に日本で行い継続。津南開催は初。ウェイトリフティングの練習ができる環境を求め、全日本チームも合宿を行っている同津南を会場に選んだ。同合宿には津南町も支援物資として「津南の天然水」を5ケースプレゼントした。

 両国の指導者たち10人も選手と一緒に滞在。口を揃えるのが「ホテルと練習場が一体な所が使い勝手が良い」という評価。兵庫県立明石南高ウェイトリフティング部監督で今回の合宿の大批評を務める生頼俊秀さん(56)は「宿泊所と温泉施設が直結しており、温泉で疲労回復もできる。練習に集中できる環境。蛇口をひねるだけで、美味しい水が出て来るのも良い」と評価する。一方、韓国のジュニア育成部門の指導者を務める李享根(リー・ヒュンクン)さん(55、ソウル五輪ウェイト銅メダリスト)は「津南はすごい良い環境にある。施設内で練習も宿泊も完結でき、他に何もないから韓日の選手たち同士で話す機会も増え、お互いの距離が縮まっている。最高です」。両国指導者とも、いつも以上の濃いスポーツ交流が津南で生まれたことを喜んでいた。

2019年12月7日(土)

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再編統合を示される県立松代病院。「過疎医療の拠点」は必要​だ

 『県立松代病院は、無床診療所にし、市町村に運営譲渡を検討』。ショッキングな文面が県資料に公表されている。国・厚生労働省は9月、全国の医療機関名を具体的に上げ、再編・統合を促す踏み込んだ方針を発表しているが、新潟県も先月29日、「新潟県病院事業の経営改善に関する緊急的な取組」を発表し、その前段となる「県立病院経営委員会」が同月15日に答申した『県立病院の役割・あり方に関する提言』をその中に盛り込み、今後の医療機関再編に乗りだしている。その提言にあるのが冒頭の文面。この中で、十日町市内に県立病院が二つある点に触れ、『松代病院は十日町病院と機能統合し、市町村譲渡など運営主体のあり方を検討』、さらに「へき地医療が中心であることから無床診療所へ転換し、巡回診療や在宅医療に加え、1次救急を含む外来医療に特化すべき」としている。今週末から十日町市議会、来週11日から津南町議会が始まる。一般質問でもこの問題が取り上げられ、国や県は地域医療のあり方に踏み込んで臨む姿勢を示しているだけに、地元自治体、さらに地元選出県議の取り組みに、大きな関心と期待が集まり、住民運動の必要性も視野に入っている。

松代病院、「無床診療所化」示す

尾身県議「県立県営を維持、入院ベッドは必要」

​小山県議「豪雪地は違う。机上の空論、実情知らない」

 厚労省は「診療実績」と「立地基準」の二つから全国424の公立・公的病院名をあげ、新潟県は22病院が該当し、魚沼エリアでは「県立松代病院」「町立湯沢病院」「市立ゆきぐに大和病院」(南魚沼市)「市立小出病院」(魚沼市)の4病院。松代病院は二つの条件が適合し、国が示す再編・統合基準でも必要性が高いとしている。

 これとは別の取り組みで、新潟県が設置の「県立病院経営委員会」が先月15日に答申した「あり方」では、「十日町病院と機能統合、無床診療所」が示され、国と県と同様な再編・統合が必要とされる医療機関になっている。だが、実情は病院の必要性は高い。訪問診療は旧東頸城エリアまで及び、答申通りに進むと、さらに「医療過疎」を生む事態に陥る懸念が大きい。

 さらに「過疎医療の拠点」であることは、これまでの医療実績、住民との関係性などから明らかで、その存在意義は『住民の命を守る拠点』であり、これまでも、これからもその意義は変わらない。ただ、入院ベッド50床維持は課題となる。

 地元選出の尾身孝昭県議は、「国が示した再編統合は、一方的に示したものであり、そのまま受け入れることなど到底できない。県も県立病院経営委員会を立ち上げ、県立病院のあり方を示している。県立松代病院は入院ベッドを設けない無床診療所にという方針を示したが、松代病院には松代病院でなければならない役割がある医療機関であり、当然入院ベッドは必要で、県立県営の医療機関を維持すべきだ」と地域医療を守る強い姿勢で、この問題に臨んでいる。ただ、現状50床は課題となると見ている。

 一方、小山大志県議も「国が示した内容は全国一律であり地域事情をなんら考慮していない。ただ県の緊急的な取組も、国基準に沿っていかない場合、来年3月までに具体案を出すことを求められており、実質的には1月中のまとめの状態。こうした急な取り組みはあってはならないし、理不尽さを感じている」と話す。さらに「妻有地域は豪雪地域で、雪のない季節と積雪期は別世界。病院に行く時間も全く違う。地域事情を知らない机上の空論で進められる怖さを感じる。地域医療は住民が納得する形で進めないと、ここに暮らし続ける人がいなくなる」と今後、地域の声を訴え、県をどう動かすか、地元自治体との連携を深める意向だ。

 尾身県議、小山県議とも地元医師会や自治体との協議内容や住民アンケート資料などを基に県病院局や担当部局に地域の実情を訴えており、今後は地元自治体、住民と連携した要請運動の必要性も示唆している。

 地域医療の再編問題は6日開会の十日町市議会と11日開会の津南町議会でも取り上げられている。国も県も、医師不足、医療費対策などの影響から踏み込んだ医療機関の再編・統合を促しているが、『命を守る拠点』の地域医療のあり方は、この地のあり方に直結する最重要課題であり、ここは地域の『本気度』が試されるところだ。

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半戸哲郎津南町議死去、定例議会目前に

ジュニア育成にも尽力

 10月20日の津南町議選で二度目の当選を果たした半戸哲郎氏が5日午前5時1分、入院先の長岡日赤で死去。68歳。半戸氏は昨年6月の町長選に三度目の出馬をしたが、192票差で惜敗。だが今秋の町議選で無投票傾向のなか、「議会を変えたい」と町議選に出馬。534票得票の4位当選で二度目の町議に就いた。初議会となった先月14日の臨時議会で議運委員長に就いたが、今月3日の全協には欠席。11日開会の12月定例会では一般質問を通告し、9番目に「保育園再編問題は一度白紙に戻して、再検討すべき」と、保育行政をただす質問をする予定だった。

 半戸氏の死去により、公選法の規定の3ヵ月以内の欠員に該当し、先の町議選で次点の津端眞一氏(71)が繰上げとなる。公選法では辞退できないとしている。就任日は津南町選管の選挙会の開催日となり、12月定例会後の選挙会となる見通しだ。

 がん治療を続けながら国政や県政の野党共闘選挙の事務局を務めた半戸氏。津南町長選の三度の挑戦は、有権者支持を受け、昨年の町長選では192票差の惜敗だった。

半戸氏は町職員時代から少年野球とアルペンスキーの指導に取り組み、ジュニア育成に尽力。野球審判の資格取得後は高校野球審判を長年務め、甲子園・全国高校野球大会でも審判を務めた。

 町職員を途中退職、町議選に出馬、さらに任期途中で町議辞職し今度は町長選に出馬。この間もスポーツ少年団育成や社会体育活動に献身的に取り組む。昨年の町長選は三度目の挑戦。さらに国政選挙、県議選などオール野党活動の事務局を長年務め、非自民勢力の事務局の要として活動。この間に膵臓がんを発症、途中1年ほど休養。「主治医が驚くほど、がん腫瘍が見えなくなってきた」。回復の兆しが見えたなかの町長選。さらに先の町議選。「余命を津南町のために」の言葉、そのままの生き様となった。

町議選では「夫婦選挙」を展開。看護師の妻・茂子さん運転の街宣車は軽自動車。5日間、80ヵ所ほどで寒風の街頭に立った。「若い人たち、勤務者が議会に出られる環境を作る、議会改革が必要」。その実現に11日から向かう矢先の失意だ。

「なにより本人が一番残念だと思います。先月25日の定期検診で入院し、本人は議会に行かなくてはと何度も話していましたが、4日夜に急変しました」、茂子さんら家族が見守るかな、5日午前5時1分、息を引き取った。

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県内初、キャベツ20ヘクタールなど栽培、2年目黒字へ

 国営苗場山麓事業を導入し、広大な優良畑地を有する津南町。その農業を牽引するJA津南町(宮澤嘉孝組合長)は、積雪地帯では法人化経営が難しいとされる畑作営農に、新たな子会社を設立して取り組み、高齢化する地域農業の耕地活用と共に、畑作営農のモデルとなる法人経営に挑戦する。来年2月1日登記予定の新会社は『株式会社津南アグリ』。先月30日、JA津南町の臨時総代会を開き、同農協出資985万円(出資比率99・1%)を決め、20㌶のキャベツ栽培を主体に、GI認証を得た雪下にんじん、アスパラガスなどによる畑作営農による黒字経営をめざす。

 農協が子会社を作り、畑作営農に乗り出すのは新潟県内では初めて。背景には、農協広域合併の研究会が進むなか、各農協の課題は経営状態。JA津南町は前年6600万円の経常利益を今年度は4千万円を予定し、来年度さらに1400万円まで黒字が減額する見込みで、2021年度は赤字転落の推計も出ている。「赤字農協は合併時に不利な立場になる」ことから、不採算部門の営農事業、特に畑作分野のテコ入れが必要と、今回の子会社設立での事業発展をめざす方針だ。

 社名「津南アグリ」は、アグリカルチャ—(農耕)から引用。資本金994万円、JA津南町985万円出資で他は役員6人、従業員4人も出資する。すでに農協出向職員1人と社員2人は確保している。役員は宮澤組合長、石橋雅博専務などを予定。事業年度は同農協と同じ2月1日から。

 津南アグリの売上主体はキャベツ20㌶(初年度10㌶)、雪下にんじん1㌶、アスパラ3・2㌶、球根養成1・5㌶を予定し、2年目以降の総面積は25・7㌶を予定。 

 この農地は津南町出資の津南町農業公社所有の30㌶を借地し、同公社所有の農業機械も借用するほか、新たにキャベツ収穫期(1140万円)、キャベツ定植機。野菜播種機、大型トラクターなど設備投資(約2220万円)する。資金は新潟県単補助事業や農業近代化資金・日本政策投資金融公庫などから融資を受ける予定だ。

 生産計画では、2年目以降でキャベツ販売約7150万円、アスパラ約1152万円など売上総額1億円を上回る推計。

一方の経費は農作業に必要なパート職など人件費が大きいが、2年目の総合収支で約300万円の黒字を見込んでいる。

 新たな挑戦に臨むJA津南町・宮澤組合長は「津南農業の畑作は家族営農が主体だったが、これからの畑作農業のモデルになる営農形態が必要で、これは農業後継者の育成にもつながる」と話す。毎月の理事会での疑義に対応した石橋専務は「苗場山麓開発で津南町には800㌶が生まれ、野菜など250㌶の活用で、畑地利用率は高くない。その意味でも野菜農業の機械化は津南農業の柱である」と、今回のキャベツ作付けは、機械化の実現が大きな要素だ。

 さらに津南農業の課題であり、会社経営となる津南アグリの課題でもある冬期間は、「除雪など農外就業のほか、ハウス園芸や遠隔地での冬季農業なども早急に研究する必要がある。その研究は町の分野であり、試験的な取り組みを求めたい」(石橋専務)として、地域産業の主軸である農業分野への町の積極姿勢を求めている。

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特色ある活動で文科大臣表彰を受賞した松代小の給食

「偉人給食」で文科大臣表彰 松代小学校

 学校給食で文部科学大臣表彰に—。全校児童による「給食川柳」や「大地の芸術祭コラボ給食」など、5年ほど前から特色ある学校給食に取り組んでいる松代小学校(阿部浩校長、児童111人)が、学校給食で優秀な成果をあげたとして文部科学大臣表彰を受賞。このほど岡山市で開かれた第70回全国学校給食研究協議会の席上、阿部校長が表彰を受けた。全国11校の中のひとつで、阿部校長は「受賞はありがたい。食べながら地域の偉人を紹介するなど、給食時間が新たな知識の吸収につながっています」と喜んでいる。

 同校は、併設の松代学校給食センターと連携、毎月1回、地元の偉人などを紹介する「とおかまちメニューの日」を設け、献立で紹介。5月の「谷川俊太郎(市民憲章起草)」では谷川さんが翻訳した絵本の題材から魚のフライを、9月の「服部勇馬選手(東京五輪マラソン内定選手)」ではMGC直前だったことから勝利を願って妻有ポークのトンカツをメニューとして提供、同時に偉人を紹介する「食べて学ぼう!とおかまちメニュー新聞」も出している。また全校児童を対象に健康給食委員会が給食川柳を企画し「給食センター賞」など表彰しているほか、松代・松之山地域の大地の芸術祭作品と作家にちなんだメニューを通して作品を紹介。さらにクロアチアホストタウン事業「クロアチアメニューの日」に合わせ、クロアチア料理を取り入れるなど、ユニークな学校給食を行っている。なお、同校は今年度と来年度、日本学校歯科医会のモデル校にも指定されており、歯磨き活動はじめ全般的な食育に取り組んでいる。

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台風被害、頭首工復旧へ 中津川

1億円で正面ケ原311.8ヘクタールをかんがい

 津南町の穀倉地帯になっている正面ヶ原に灌漑用水を供給する中津川「正面ヶ原頭首工」が先月13日の台風19号による大増水で頭首工が破損し、大規模な修復が必要となり、町の災害復旧で取り組み、事業は十日町地域振興局が行う県営施工で行い、事業費約1億円で復旧に取り組むことが決まり、来年の春耕には間に合う方針だ。

 被害は、中津川の増水で頭首工の防流ブロックが流失し、頭首工施設が破損。このため灌漑用水ができなくなった。復旧事業は約460平方㍍で事業費1億円を予定。原形普及を求めていく。

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